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The SevenDays-War(黒)

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 その場に残ったルドラは、正面に立つ黒炎の騎士と向き合う。
「サルバトか。少々物足りぬ相手ではあるが、我慢しておこう」
 ルドラは開放した黒剣を構えつつ、相手を見据える。
 黒炎の騎士サルバト。ルドラと同じく魔大戦の敗北者であり、脱走者を狩る役割を担う黒炎の騎士の一人。
 魔大戦の折、両者は一騎打ちを行った。勝負はルドラの勝利に終わり、トドメを差されることなく開放されたサルバトは、直後に“統治神”との従属契約を結んだのだ。
 『ルドラとの再戦』を条件として。
 サルバトは馬上で槍を構え、ルドラの正面に対峙する。
「我は黒炎の騎士サルバト。あのときトドメを差しておかなかったことを後悔させてやる」
 ユノフィアとウマを乗せた黒天馬が彼方へと姿を消す。
 サルバトが統治神に命じられたのは、脅威の排除、つまりはウマを始末することだったのだが、契約条件である『ルドラとの再戦』が優先されるのは当然のことだ。
 ルドラと同様、サルバトもまた戦いに飢える者。
 戦いを望む者同士、言葉を交わす必要などない。

 風が止む。
 静寂がすべてを飲み込んで空間を支配する。

 雷鳴のごとき速度で突進したサルバトは、ルドラの黒剣によって一刀の下に切り伏せられた。
 だが、戦いはまだ終わりはしない。
 ルドラを取り囲む新たな刺客、名も知らぬ黒炎の騎士、天空より飛来する鳥獣、大地を轟かせ集結する魔獣。

「我を反逆者と見なしたか。それもいいだろう」
 それらを一瞥し、ルドラは高らかに笑う。
「だが!!」
 殺気を込めたルドラの声が周囲を取り囲む刺客たちを威圧する。
「契約ある限り、我を滅するには至らぬ!」
 ルドラは黒剣を掲げ、高みの見物を決め込む相手に吼える。


 エルセント北西の丘陵地帯で起きた戦いは、天変地異として語り継がれている。
 三日三晩続く大嵐は、エルセントの北部に壊滅的被害を与えることとなる。


「約定を違えたのは貴様だ! ――よ!」


作品名:The SevenDays-War(黒) 作家名:村崎右近