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The SevenDays-War(黒)

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「ワシはそれを知ることを望んでおらぬ。真実は時として残酷じゃ。無用な争いを引き起こすこともあろう。冷徹な事実を受け入れられるほど、人間は強くはできておらぬ。ワシは弱い。じゃからこそ彼に真実を話せなんだ」
「おじいちゃん……」
「もし、この国の統治者が変わったとしても、ワシはワシのままであり、お主はお主のままであろう? 何も変わりはせぬ。それと同じことじゃ。この世界を統治する者が何者であろうとも、雲は雲、空は空、陽は昇り、風は吹く。何も変わりはせぬ。ならば、争いが起きぬに越したことはなかろう。ワシはそう思うておる」
 キャスは大きく深呼吸をして間を取った。
「聖教会の教えだと、黒炎の騎士はこの世界の敵を討つ守護者。この世界に災厄をもたらすあちらの世界からの来訪者を退治する神の剣」
「聖教会ではあちらの世界を魔界と呼んでおる」
「魔界の住人たちの正体は、魔大戦で敗北を喫した古代の神々なのよね?」
 大司教は返事をしなかったが、キャスはそれを無言の肯定として受け取る。
「迷える人々を導く聖教会の者として、この世界の神に仕える者として、真実を知る必要があると思うわ。国にとっての王、世界にとっての神、その二つの関係が同じなら、なぜクオンたちと国を変えようとしていたの? 自身の弱さに気付いているのなら、強くなる努力をしなければならないはずよ」

「ワシには神は絶対なのじゃ。背くことなどできようはずがない」


 ―― The SevenDays-War


 歌を詠むかのような旋律が執務室に響く。
 その声は美しくも冷たく、冷徹であるが故に、万物に平等。

「貴方は知っておかねばならない。絶対の存在に立ち向かった男の物語を」

 そこには、ただ真実を謡い伝える銀の女神が存在していた。


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         ―  君にこの声がとどくように  ―
      〜 別章 The SevenDays-War 黒炎の騎士 〜
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 ―― 時は、十年前に遡る。


作品名:The SevenDays-War(黒) 作家名:村崎右近