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The SevenDays-War(黒)

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 遥かなる昔。神々が人々と共に現世に在った世界。
 それは神話と呼ばれる時代。
 西の大地には、ゲルパドという国があった。創造神により作り出されたポポマたちは、そこに国を作り暮らしていた。
 人々は実存する神々を崇め、神々は人々を守り、時には恵みを与え、時には災いをも与えた。
 そして千年前、魔大戦が起こる。
 戦場となった西の大地は、砂漠へと変わり果ててしまった。
 魔大戦の最中、ポポマの全滅を危惧したゲルパドの一神であるナウタラは、ゲルパドの東に広がる大森林にポポマたちを隠した。
 それから千年が過ぎた現在まで、細々とではあるが子孫を残している存在している。
 ユノフィアとウマの二人は、その子孫というわけだ。

「……というわけよ。わかった?」
 ユノフィアはポポマについて簡単に説明した。
「それでルドラは二人を森に帰そうとしているのか。しかしなぜ?」
「ゲルパドには、国を守護する二人の騎士がいたの」
 ユノフィアは視線を落として語り出した。聖教会では異端とされ、語ることを禁じられている魔大戦以前の物語だ。アーノルドは、興味本位でその話を耳にしたことがある。
「知ってる、ナタラとルドラ、だろ?」
「ナウタラとルドウラよ」
 ナウタラは内なる罪を裁き、ルドウラは外敵の侵入を阻んだ。
 魔大戦が起こらなければ、二人の騎士によって護られたゲルパドの繁栄は、いまもまだ続いているはずであった。
「彼はきっと生まれ変わりなんだわ」
 一転してユノフィアは空を見上げる。隣にいたウマも、空に何かあるのかと思ったのか、同じように空を見上げた。

 この時点でのアーノルドは、疑う理由もないが信じる理由もない、といったところでしかなかったのだが、その日の夕刻に届けられた、『宿場町で遊女が行方不明になった』という報せと、『ガルガント山脈の強制収容所で囚人と看守が全員殺されていた』という報せを聞いたときに、何よりも先に「ルドラの仕業だ」と確信してしまった。

 我ながら大層な大物に手を貸してしまったものだ、と苦笑いを浮かべるアーノルドの隣で、ユノフィアはキセルを咥えて紫の煙を燻らせていた。
作品名:The SevenDays-War(黒) 作家名:村崎右近