The SevenDays-War(黒)
ボコリ。と、溶岩の泡が破裂した瞬間のような音が響く。
急激に少女の腹が不自然に膨らむ。
気を失っていた少女は目を覚まし、あらん限りの苦痛と苦悶を訴える。
「ハズレか。まぁ一応、何が出るか確認しよう」
それを見ても、男たちはあくまで冷静だった。またか、というため息を吐く者もいる。
その中に、看守が連れてきた囚人は含まれていない。ハンマーで頭をかち割られ、誰が見ても分かるように絶命していた。それが少女に何らかの影響を与えたのは明白だ。
鮮血が飛び散る。
それは自力で産まれ出た。少女の腹を内側から裂いて。
少女の血で赤く染まっているが、その下に見える体表は白い。肌が白いなどとというような白さではない。漆喰のような、隙のない白だ。
それは“人間のような”形をしていた。頭のような丸み。それを支える首のような箇所。二つの関節を持つ腕のような長い突起。それらを繋ぐ、人間でいう肩と胸に当たる部分。
あるのはそれだけ。
顔には、目も鼻も、口も耳もない。あごもないためどちらが正面なのか判別することはできない。腕のような突起は一つだけ。指に該当する部分は存在せず、その先端は丸みを帯びて細っているだけだ。
痙攣するようにビクビクとした運動を繰り返しているが、それが生物なのかどうかは、見た目からは判断できない。
唯一つ言えること。それは間違いなく魔界からの“脱走者”であった。
―― タスケテ
“脱走者”は例外なく訴える。
―― コロシテ
明らかに異形である“脱走者”を目の前にしても、ルドラは静観する姿勢を崩さなかった。人間が“脱走者”をどのように扱うのかを知るいい機会だと判断したのだ。
その答えはすぐにわかった。
人間たちは、“何もしなかった”のだ。
急激に少女の腹が不自然に膨らむ。
気を失っていた少女は目を覚まし、あらん限りの苦痛と苦悶を訴える。
「ハズレか。まぁ一応、何が出るか確認しよう」
それを見ても、男たちはあくまで冷静だった。またか、というため息を吐く者もいる。
その中に、看守が連れてきた囚人は含まれていない。ハンマーで頭をかち割られ、誰が見ても分かるように絶命していた。それが少女に何らかの影響を与えたのは明白だ。
鮮血が飛び散る。
それは自力で産まれ出た。少女の腹を内側から裂いて。
少女の血で赤く染まっているが、その下に見える体表は白い。肌が白いなどとというような白さではない。漆喰のような、隙のない白だ。
それは“人間のような”形をしていた。頭のような丸み。それを支える首のような箇所。二つの関節を持つ腕のような長い突起。それらを繋ぐ、人間でいう肩と胸に当たる部分。
あるのはそれだけ。
顔には、目も鼻も、口も耳もない。あごもないためどちらが正面なのか判別することはできない。腕のような突起は一つだけ。指に該当する部分は存在せず、その先端は丸みを帯びて細っているだけだ。
痙攣するようにビクビクとした運動を繰り返しているが、それが生物なのかどうかは、見た目からは判断できない。
唯一つ言えること。それは間違いなく魔界からの“脱走者”であった。
―― タスケテ
“脱走者”は例外なく訴える。
―― コロシテ
明らかに異形である“脱走者”を目の前にしても、ルドラは静観する姿勢を崩さなかった。人間が“脱走者”をどのように扱うのかを知るいい機会だと判断したのだ。
その答えはすぐにわかった。
人間たちは、“何もしなかった”のだ。
作品名:The SevenDays-War(黒) 作家名:村崎右近