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The SevenDays-War(黒)

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 野蛮で愚かな者が考えそうなことだ、とルドラは思う。
 この千年の間、幾度となく神に生贄を捧げる人間たちを見てきた。生贄の種類は小動物から人間にまで及んだが、求められる望みはいつも同じだった。
 
 『我に力を与えたまえ』
 この世界の神は、自分に対する脅威を生み出すような真似はしない。狡猾で計算高く、ありとあらゆる芽を摘む。神の代行者としてそれを実行してきたルドラは、似たような場面を幾度となく見てきたのだ。
 神は人間に手を貸さない。それはこの世界の摂理。
 聖職者の祈りが魔獣や魔物に強大な効果を発揮するのは、それが魔界からの脅威だからであり、単に利害が一致しているに過ぎず、祈りという儀式を経由するのは、少ない力で効率よく干渉することができるからである。

 七輪に挿し込まれた鉄棒が、赤赤と光っていた。焼ゴテである。その先端部分は、ルドラも見たことがない複雑な形をしていた。
 男たちは丸太杭に縛りつけた少女の衣服を破りとり、少女が叫び声をあげた隙に、丸めた布切れをその口に捻じ込んだ。
「へへ、ガキのクセにいい身体してんじゃねぇか」
 看守は、あらわになった少女の膨らみを手の中で遊ばせる。
 少女は僅かな抵抗を見せたが、縛り付けられた身体では逃れようがなかった。
「やめておけ。そういうことは別の奴で済ませろ。生娘でなければ意味がないのだ」
「もったいねぇなぁ」
 看守は名残を惜しむようにひと撫ですると、縄で少女を縛り始めた。少女を丸太杭に固定する勢いで、ぐるぐると何重にも巻いてゆく。巻いた縄は肩から膝下にまで及んだが、ヘソと秘所の間、下腹の部分には一切巻かれていなかった。その理由は簡単に予想がつく。焼ゴテをその部分に押し当てるためだ。
 少女もすぐにそれを悟る。
 目を見開いて首を振り、許しを請うた。その願いが聞き入れられることなど、万に一つもないと分かっていながらも、そうせずにはいられない。
「歯を喰いしばっておけ」
 その言葉は、男の優しさから出た言葉ではない。少女の訴えが聞き届けられることはないという宣告だ。

 肉が焼ける匂い。
 肉が焼ける音。

 少女が気を失うことで無声の叫びが止むと、男たちは何事もなかったように少女の縄を外しに掛かる。
 ルドラは少女の下腹に焼き付けられた紋様を注意深く観察し、再度記憶を巡らせようと短く息を吐いた。
作品名:The SevenDays-War(黒) 作家名:村崎右近