The SevenDays-War(黒)
日が沈み、再び昇った。
時は更に流れ、まもなく太陽が天の頂に到達する頃だ。
ルドラの視線の先では、昨日の一行が昨日と同様の隊列を組んで山道を進んでいた。
こうしてただ眺めているだけの時間は、既に数時間にも及んでいるのだが、千年を生きたルドラにとっては、その程度の時間など一呼吸にも等しい。
一行が向かっている先はすでに判明している。向かう先は罪人を強制労働させている坑道だ。そこで何が行われるのかも予想がついていた。なのでいまは、ただ到着するのを待つだけの時間だ。
一行は、周囲を太い木杭で囲まれた強制収容所の敷地に入った
ルドラも人間の目に映らぬように姿を消して地上に降りる。
幌馬車に乗っていたのは六人。騎乗していた四人を加え、総勢十人。そのうちの二人が、首、腰、両手首に渡って縄を打たれていた。
ルドラは、縄を打たれている二人から魔界の波動が発せられていることを確認する。
「女、か」
両名とも幼さの残る少女であったが、人間に興味がないルドラには“幼い”という印象を生み出す概念がない。人間が猿の生態を詳しく知らないのと同じだ。辛うじて男女の違いが判別できる程度の知識を持っていただけのことだ。
残る八人の男は、馬車から降ろした二人の少女を引き連れて、敷地内の広場へと向かった。そこは、何本もの太い丸太が垂直に打ち込まれた、懲罰のための磔場だ。
二人の少女は、別々の丸太杭に縛りつけられる。
その間に、収容所の看守が一人の囚人を連れてきた。看守はその手に赤赤と燃える木炭が詰まった七輪を持っている。
囚人は後ろ手に木枷を嵌められており、両足首に嵌められた鎖は、一歩進む度にジャラジャラと音を立てて地面を削った。
姿と気配を消したルドラは、その様子をただ眺めていた。ここまでは、すべてルドラの予想通りの展開であった。囚人は、その身から魔界の波動を発する二人の少女に捧げられる生贄なのだ。
時は更に流れ、まもなく太陽が天の頂に到達する頃だ。
ルドラの視線の先では、昨日の一行が昨日と同様の隊列を組んで山道を進んでいた。
こうしてただ眺めているだけの時間は、既に数時間にも及んでいるのだが、千年を生きたルドラにとっては、その程度の時間など一呼吸にも等しい。
一行が向かっている先はすでに判明している。向かう先は罪人を強制労働させている坑道だ。そこで何が行われるのかも予想がついていた。なのでいまは、ただ到着するのを待つだけの時間だ。
一行は、周囲を太い木杭で囲まれた強制収容所の敷地に入った
ルドラも人間の目に映らぬように姿を消して地上に降りる。
幌馬車に乗っていたのは六人。騎乗していた四人を加え、総勢十人。そのうちの二人が、首、腰、両手首に渡って縄を打たれていた。
ルドラは、縄を打たれている二人から魔界の波動が発せられていることを確認する。
「女、か」
両名とも幼さの残る少女であったが、人間に興味がないルドラには“幼い”という印象を生み出す概念がない。人間が猿の生態を詳しく知らないのと同じだ。辛うじて男女の違いが判別できる程度の知識を持っていただけのことだ。
残る八人の男は、馬車から降ろした二人の少女を引き連れて、敷地内の広場へと向かった。そこは、何本もの太い丸太が垂直に打ち込まれた、懲罰のための磔場だ。
二人の少女は、別々の丸太杭に縛りつけられる。
その間に、収容所の看守が一人の囚人を連れてきた。看守はその手に赤赤と燃える木炭が詰まった七輪を持っている。
囚人は後ろ手に木枷を嵌められており、両足首に嵌められた鎖は、一歩進む度にジャラジャラと音を立てて地面を削った。
姿と気配を消したルドラは、その様子をただ眺めていた。ここまでは、すべてルドラの予想通りの展開であった。囚人は、その身から魔界の波動を発する二人の少女に捧げられる生贄なのだ。
作品名:The SevenDays-War(黒) 作家名:村崎右近