The SevenDays-War(黒)
「サンクという者は、そんなに偉いのか?」
「偉いなんてものじゃない」
アーノルドは呆れ返った声を上げた。それほどまでに、ルドラの問いは愚かしいものであったということだ。
「エルセントを形成する三つの組織、騎士団、魔術院、大聖堂のそれぞれに影響力を持っていて、国王でさえもその発言は無視できないと言われてる」
「ほう」
ルドラは、熱心に説明するアーノルドの熱意に圧される形で感嘆の言葉を発したものの、その実、よく分かっていない。
「それだけじゃない。奴はかなり危ない。下手に目をつけられちまうと、街を追い出されるどころか命も危ないって噂だ。最近になって、頻繁に北門から出入りしやがるおかげで、顔と名前を覚えられちまってさ。迂闊なことはしたくないんだ」
「つまり、どうしろというのだ?」
「奴は明日の夕刻には戻ってくる。いままでもずっとそうだったからな。アンタにはそれまでここに居てもらって、奴が戻ってから町の外に出て貰いたい」
「それはなぜ?」
「俺も監視されてる。だから、奴を狙っていないというところを証明して欲しいんだ。俺に、じゃなく、俺を監視してる奴に」
「確かに監視の目はある。邪魔なら始末しても良いが」
「止めてくれ」
瞬時にルドラの言葉が本気であることを悟ったアーノルドは、声を荒げて懇願する。それと同時に、この恐ろしく腕の立つ世間知らずの大男に興味を持った。
「そいつが関与しているかどうか、はっきりさせておく必要はある」
「何を探してんのかは聞かねぇけどさ、戦争でも起こそうってんなら、今のうちに教えてくれよ? 急いで逃げるから」
アーノルドは、へへっ、と笑ってみせる。
「戦いならば、遥かな昔より今もなお続いている」
ルドラは遠い北の空を見る。かつての戦友“魔大戦の敗北者”たちが囚われている牢獄が、その向こうにあるのかどうかも分からぬままに。
「偉いなんてものじゃない」
アーノルドは呆れ返った声を上げた。それほどまでに、ルドラの問いは愚かしいものであったということだ。
「エルセントを形成する三つの組織、騎士団、魔術院、大聖堂のそれぞれに影響力を持っていて、国王でさえもその発言は無視できないと言われてる」
「ほう」
ルドラは、熱心に説明するアーノルドの熱意に圧される形で感嘆の言葉を発したものの、その実、よく分かっていない。
「それだけじゃない。奴はかなり危ない。下手に目をつけられちまうと、街を追い出されるどころか命も危ないって噂だ。最近になって、頻繁に北門から出入りしやがるおかげで、顔と名前を覚えられちまってさ。迂闊なことはしたくないんだ」
「つまり、どうしろというのだ?」
「奴は明日の夕刻には戻ってくる。いままでもずっとそうだったからな。アンタにはそれまでここに居てもらって、奴が戻ってから町の外に出て貰いたい」
「それはなぜ?」
「俺も監視されてる。だから、奴を狙っていないというところを証明して欲しいんだ。俺に、じゃなく、俺を監視してる奴に」
「確かに監視の目はある。邪魔なら始末しても良いが」
「止めてくれ」
瞬時にルドラの言葉が本気であることを悟ったアーノルドは、声を荒げて懇願する。それと同時に、この恐ろしく腕の立つ世間知らずの大男に興味を持った。
「そいつが関与しているかどうか、はっきりさせておく必要はある」
「何を探してんのかは聞かねぇけどさ、戦争でも起こそうってんなら、今のうちに教えてくれよ? 急いで逃げるから」
アーノルドは、へへっ、と笑ってみせる。
「戦いならば、遥かな昔より今もなお続いている」
ルドラは遠い北の空を見る。かつての戦友“魔大戦の敗北者”たちが囚われている牢獄が、その向こうにあるのかどうかも分からぬままに。
作品名:The SevenDays-War(黒) 作家名:村崎右近