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ハヤト

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 もともと私達の勉強は、受験に則した英語の勉強でなかった為、実用的でした。
We‘ve never met such a good English speaker who come from JAPAN.
そう言われ、私達はホームステイ先の彼らに好まれました。
 ハヤトと私は夜に会って話をしました。ハヤトは興奮気味で、
「カンナ。イギリスは自由だ。世界は自由だ。俺達をこんなに受け入れてくれる場所、他にあったか?俺はやるぞ。ホームステイが終わったら、学校を辞める。会社を立ち上げる。海外相手にやってやるぞ。絶対やってやる」
 それを聞いた私は“ハヤト高校辞めちゃうんだ”そうがっかりしました。だけど…だけど誰がハヤトを止められるんですか?彼の身になったら誰が止められるんですか?あと数年、彼は精一杯生きたいんです。
 彼と一緒に日本に帰った後、ハヤトはすぐ高校を中退しました。彼は海外に行くと決めています。実際この目で商品を見に行くと言っています。海外に移住するとまで言うので、私も一緒に高校中退すると、私はハヤトに言いました。
「カンナお前は関係ないだろ。お前は高校卒業しろよ」
でも私は彼を追いかけたかったので辞める決断をしました。
 その事を父に話すと、
「高校を卒業しなくてどうする?大学を卒業しなくてどうする?東大卒になれば、その肩書きが必ずお前を助けてくれる」
 私は父の言葉を無視してハヤトを追いかけました。
 はじめは観光ビザで不正と分かっていますが、申請もせず所謂スーツケース輸入と言うものをしていました。スーツケース輸入も売れると分かれば申請をし、正式に輸入することになりました。
 
 ベルギーのビール、スカルのレースブーツ、CD付洋書。彼はそう言ったものをどんどん日本に輸入しました。 
 アメリカに行って洋書のまとまった数の輸入をし、夜にはビールを飲みながらスモークサーモン、スペアリブを食べました。だんだん私達はお金を稼ぐ楽しみを覚えました。
 イギリスでビール、時計の輸入の交渉に成功し、またアイリッシュパブでビールを飲みました。
 彼はブラウンポーターを飲みながら私に笑顔を見せました。
 その笑顔は幸せそのものでした。私も顔がほころび、ペールエールを彼のジョッキにぶつけ、乾杯し、笑いました。
幸せでした。本当に幸せでした。でもいくらお金を稼いでもふとした何かでこんなことを思い浮かべてしまうのです。

“お金が所詮紙であるという事実を誰よりも私達が知っている”

 それでも私達はそんな事実には触れないでひたすら高らかに笑っていました。
作品名:ハヤト 作家名:松橋健一