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ハヤト

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 私達が付き合っている事は校内でも知れ渡っていました。
私達二人は家族の愛よりも、高校生である恋人にすがって生きていました。時折、喧嘩もしました。私達にとって愛と言うものはシャボン玉の泡みたいにいつ消えてしまうか分からない、はかないものだったのです。絆と言うものに欠陥があると言い換えてもおかしくありません。なぜなら私達が喧嘩をした時は、私は心の底から震える思いでした。現実に対して震える思いでした。
 その喧嘩は校内の学生たちにも察せられる様です。すぐ噂になります。
人と言うものは興味本位でいくらでも残酷になる事だと知りました。

親からカンナもっとお金を稼げないか?と言われ、私はバイトでお金を工面しても手元にほとんど残らないので、ある副業に関するサイトで、よく調べました。
 そして翻訳の仕事が、目に留まりました。一年くらい英語とドイツ語、スペイン語を勉強しました。スペイン語の翻訳の仕事がたくさんあるので、スペイン語を猛勉強し、16歳になった時は、スペイン語の翻訳で月15万くらい稼げるようになりました。ハヤトにその話をしたら、
「俺もカンナみたいに翻訳やってみようかな」
と、言って英語とスペイン語だけは、彼も勉強する様になりました。彼も翻訳の仕事で、お金を稼ぐ事を覚えました。
 私達はビジネスを覚える為「マーケティング術」や「投資のメカニズム」等の本を読み漁りました。
 学校でみんなが自分らしく生きる事を教わっている間、私達はビジネスの厳しさを学んでいました。
 フィリップ・コトラーやセオドア・レビット、フィッシャー・ブラック、ロバート・マートン等、有名な著書は、一通り読みました。
 
 その頃の私達に強いられたものは早熟でした。

 その頃の私らは同じ年の皆よりかなりの違いで早熟でした。

 それは、それは、本当に悲しい早熟でした。
作品名:ハヤト 作家名:松橋健一