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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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慟哭の箱 10

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これは、一弥の意思だ。出てくるな、と念じてももう遅い。


ころす。殺す!!おまえは絶対に殺す!!!ここで終わらせてやる!!!


(一弥…ッ!)


感情が溢れてくる。抑えきれない!絶叫とともに、一弥は落ちていたナイフを片手に、地面を蹴って駆けた。

許さない!!ここでおまえを殺してやる!!
ここで、ここで全部清算するんだ!!!

「っ…!」

武長に突進した一弥だったが、強い力で全身を止められる。


「…は?」


一弥は顔をあげる。清瀬に抱き留められていた。温かいものが両手をべたっと濡らしていく。清瀬が抜身のナイフの刀身を握りしめ、顔をしかめている。

「き…よせ、さん」
「いてて…」

膝を折ってくずおれた清瀬とともに、一弥もまた膝をついた。ナイフが力なく床に落ちて、カランと高い音を立てる。

どうして…。どうしてあんたが血を流しているんだ。

戦慄く一弥の手に、清瀬の手が重なった。落ち着け、というように。

「あんた…何を…」
「そんな青い顔するなって。こんなのはかすり傷なんだから」

清瀬の声は、いつもの穏やかで気の抜けた笑い声だった。安堵なのか衝撃なのか、全身の力が抜けていく。項垂れた一弥の耳元に、優しい声が降る。

「もう大丈夫だ。終わったんだよ」
「……なに、を」

作品名:慟哭の箱 10 作家名:ひなた眞白