ゴキブリ勇者・クラウン商会編
膝の力が抜けて、俺は地面に転がった。
キラキラと輝く世界で俺を睨み付ける女性は、俺の元婚約者とよく似ていた。
彼女に笑顔を向けると、もう一度俺は襲われた。
「死ね!悪魔!」
護衛は動かない。
俺はただ刺され続けた。それでも苦痛は感じなかった。
ある時までは。
「うぐっ」
突然、全身を激痛が襲う。
身をよじることさえ出来ない痛みに俺は悶えた。
そして俺は唐突に気がついた。
「俺は……死ぬのか?」
声にならない声で俺は叫んだ。
死にたくない、助けてくれ!
しかし、誰にも俺の声は聞こえてないようで、俺は護衛にも取り残された。
寒い。
誰にも伝えることが出来なかった。
俺の意識はそのまま途切れた。
作品名:ゴキブリ勇者・クラウン商会編 作家名:オータ