偽電車男 第二部(完結編)「長いトンネルを抜けて」
12.マリちゃんとの最悪な再会
本来なら「やよい」ちゃんも一緒に参加するのが理想だったが、用事があって来れないとのことだった。
がっかり。
キョウスケがなぜ遠くに異動になったかは知らない。
そんなことはどーでもいい。
そして、当日が来た。
俺の今の客先の都道府県の街にみんなが集合した。
ボーリング場に現地集合。
まずはボーリングだ。
ぞろぞろと面子が集まりだした。
エイイチロウとサトウも来た。
向こうも驚いていた。
こっちみながら、みんなで何か喋っていたが、知ったこっちゃねー。
軽くメンチ切った。
で、マリちゃんも来た。
か、案の定隣にはシンイチさんが。
こっちも時々見ていたが、話すこともなし。
ワタセさんも来ており、 「久しぶりです。元気にやってますよ。」と笑顔で声をかけた。
「あ、元気そうだね。」とのこと。
で、俺のいなくなった後に入った女の子の新入社員も来た。
「この子がお前の後に入った女の子だよ。」と紹介された。
「仕事難しいだろうけど、がんばってね。」と声をかけ、相手の子も「はいっ」と答えた。
で、みんなでまずはボーリング開始。
正直サトウたちが三つ隣のレーンだったりして、時々メンチ切りながら
楽しくボーリング。
俺のチームはワタセさんと、さっき話しかけた新人の女の子。
楽しくみせようとしてたら、新人の女の子がワタセさんに「彼が、マリちゃんを泣かせたんですか?」とか言って、ワタセさんが「そうだよ。」とか苦笑いしてた。
それ見て、何かすごいカチンと来た。
でも、ま、いいか。
普通にボーリング。
で、ボーリングが終わって。
ビアガーデンに移動。
マリちゃんと、仲のいいうちの会社の女性社員が
「彼と話さなくていいの?」
「あいつとはもう話さない」
と言ってた。
それを聞いたら、何か吹っ切れた。
結局、予想通りシンイチさんとマリちゃんがくっついて、俺は無視の対象でしかなくなったんだってね。
あんだけ否定されたし、もう大丈夫さ。
あんだけ客先社員やサトウたちに嫌がらせ受けて、それに耐えて、また俺を望んでくれたら三回目でも告白しようと思っていた時もあった。
でも今は違う。
「やよい」ちゃんにもメールやりとりしてるし、
後は、シンイチさんとマリちゃんがちゃんとけじめをつけるように後押しをして、俺はお払い箱かな・・・ と思った。
だが、サトウたちには、ちゃんとミズキさんの件を一喝しとかなきゃ。
ビアガーデンに着いた。
さっそくビールが並び、乾杯からみんな楽しく飲み始めた。
俺はサトウたちと仲がいいあの時の客先のウチの社員たちのテーブル。
サトウはさすがに俺と同じテーブルにはつけなかったな。
ざまぁ。
マリちゃんも俺のテーブルにはつかず、離れたテーブルで隣はシンイチさん。
で、飲み始めて、酔った振りして一喝した。
「いやぁ、ミズキさんにも謝っときましたよ。支社長から、俺と同じようなこと言ってたって聞きましてね。まわりがうるさくて仕事に集中できないっていってたみたいで。俺のせいでいじめにあってごめんなって。彼女はそれでも否定しましたけどね。やれやれ。」
そしたら、あの時の客先のウチの社員たちの顔色が変わった。
「俺たちのこと怒ってる?」
なので、満面の笑みを浮かべながら、「あたりめーだろ!俺の本心教えたら、(ピー)が入るからなw」って言ってやった。
同じテーブルのあのときの関係者たちが一斉に他のテーブルに逃げた。
残ったのは二人。
俺はやれやれって感じでビール飲んでた。
で、最後に一芝居うった。
同じテーブルの残ったメンバーに偽の愚痴をこぼす。
「いやぁ、女性と付き合うのも疲れますわ。やよいちゃんてかわいい子からメアドもらってて今日誘ったんすけどねぇ。こねーんすよ。」
「ハハハ、そうか。」
「あとね、前付き合ってた人と別れちまいましてね。指輪ももらったんすけどねぇ。」
そういって、偽の指輪をテーブルの下で指にはめて同じテーブルの人に見せた。
で、はずして放り投げる。
「あぁ、人妻なんか死ねばいいのに。」
といって、涙を見せた。
「おい、大事な指輪なんだろう?もっとけよ。」
「そっすね・・・」
そういって、再び指にはめた。
マリちゃんとシンイチさんも聞いてたね。
で、ビアガーデンは終了。
予約していた市内のホテルに戻り、次の日に現住所のマンションに帰った。
もち指輪は外してね。
そんなもんさ、これくらいしかできねーよな。
作品名:偽電車男 第二部(完結編)「長いトンネルを抜けて」 作家名:ぎーくおぶじえんど