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てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
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「もう一つの戦争」 舞い降りた天使1.

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「初めまして。大久保裕美子と言います」

「はい、私は幸恵です」

「奥様ですか?」

ゴホンと咳ばらいがして、余計なことは聞くな、と五十六の声がした。
外の寒さとあまり変わらない車内の気温であった。なぜ暖房をかけていないのか由美子は不思議に思ったが、車の形から自分が知っているものとは違うと認識した。

隣に座っている幸恵という女は黙ってはいたが時折自分の方を見てはくすっと笑っていた。それは何を意味するのか解らなかったが、みすぼらしい恰好を笑っているのだろうと思えた。

車は修善寺の一軒の古びた温泉宿に着いた。
車から降りた五十六はまず幸恵を先に行かせ、指定した部屋で待つように指示した。
運転手に駄賃を渡し、明日の朝6時に迎えに来るように指示を与えた。丁寧にお辞儀をして、車は来た道を戻っていった。