雨は彼女を許さない
私は 人ではない何かだ
私は 人に恐れられた何かだ
私は 人になりたかった何かだ
私は 人になれなかった 何かだ
その気になれば世界だって壊せる
人の成し得ない事が出来る
出来てしまう
私は
呪われている
力に 自分自身に 運命に
生まれた時は普通の人間だった。
人間に、見えた。
物心のついた頃のある日、
私は、学校の帰りに、夕立に降られて濡れて歩いた。
「雨なんて降らなければいいのに」と心に思った。
それだけだった。
何の意図もなくただ、濡れたくないというだけで、
そう、思った。
途端、雨が止んだ。
何の前触れもなく雨雲自体が消えた。
その時は、ただの通り雨だったのだろう、と、濡れずに帰れることを喜んだ。
しかし、その日以来、私の住む町に雨が降らなくなった。
異常気象、とニュースでも報じられた。
思い立って、神様にお願いをしてみた。
「雨がまた降りますように。もう雨が嫌いなんて思わないから。」
次の日の朝、水が窓に打ち付ける音で目を覚ました。
雨が降ったのだ。実に3ヶ月ぶりの雨だった。
やった!お願いが叶ったんだ!
両親にもそう言ってはしゃいだ。
私は傘を差すのではなく、レインコートを着て家を出た。
私が雨に喜べば喜ぶほど、雨が強くなった。
学校についてからも、その夜も、次の日もその次の日も、
雨が止むことはなかった。