雨は彼女を許さない
「・・・雨、邪魔だったから」
「へえ!すごい!それって雨を止ませたってことだよね!」
「・・・」
「いいなあ!かっこいい!雨を操れるの?」
「っ・・・」
美香ちゃんが小さな拳をぎゅっと握り締めた。・・・途端、俺と美香ちゃんの間に境界線があるかのように、俺の上だけに雲がわき出て、猛烈な雨を降らせた。
「っひゃあ!!すっげえ!!けどこれ、ちょあの、止めて!!」
「・・・なんで、怖がらないの」
「え?何か言った!?ちょ、っとこれ、痛、痛い、雨、止めて!!」
言い終えるが早いか、たちまち雨は止んだ。
「なんで」
「え?」
「なんで!・・・嬉しそうにするの」
「いやいや、だってすげえじゃん!普通の人には出来ない事だよ!」
「っ・・・だから、それが怖くないのかって言ってるの!」
どんっ
美香ちゃんは俺を突き飛ばして、足早に去っていってしまった。
「なんだよ・・・」