雨は彼女を許さない
俺の家は母さんと由美と俺の3人家族、いわゆる母子家庭だ。父さんは5年前から行方が知れていない。
きっと今は世界のどこかを旅しているか、どこかで野垂れ死んでいるのだろう。俺は家族を放って帰ってこない父さんを憎んでいる。
ふと、壁に掛けてあるカレンダーに目が行った。
そういえば、もう入学してから2ヶ月が経つんだなあ。春休みの間は、受験からの開放感で、中学の友達と遊びまくっていたけど、今ではもうメールのやりとりもほとんどない。その理由はみんなそれぞれ高校で新しい友達が出来て、そちらの絡みに忙しいからだろうな。かくいう俺にだって友達は出来た。みんなそれぞれに充実しているならそれでいいんだけど、やっぱり少し寂しいかな。
なんて柄にもなくしみじみしているうちに奴はやってきた。睡魔。こいつはいつだって突然襲ってくる。
俺は心地よいその誘惑に抗うことなくベッドへ倒れこむのだった。