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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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慟哭の箱 8

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「旭が信じたあなたを、信じている」

金縛りにあったかのように、清瀬は動けない。イシュの言葉は、まるで神の託宣だ。こうせよ、ああせよ、と暗に指示しているのではなく、おまえを信じてすべてを託す。任すと言うのだ。この自信はどこから来るのだろう。清瀬とて人間であり、ミスを犯すこともある。事態がイシュの思惑通りに進むとは限らない。イシュはそれすら見越して、理解して、それでも信じると断言するのだ。イシュの心の在り方は、常人の域を超えている。手放しに信じるというのは、盲信でもある。

イシュには未来が見えているのか?

だからこそ寄せられる信頼なのだろうか。清瀬にはわからない。

「清瀬さん」
「うん?」
「あなたでよかった」

瞑目するイシュの言葉は、夜の中に溶けていく。

「あの子らが、初めて出会う正しい大人が、あなたでよかった」

にっこりと、彼はそう言って笑うのだった。出会うことさえ、イシュにはわかっていたのかもしれない。そう思わせる笑い方だった。





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作品名:慟哭の箱 8 作家名:ひなた眞白