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きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
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また訪問…。~次の週~

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何よりも聖書は本なので、本が喋るわけもないのでその答えは違うんじゃないかと私は思ったので、もう一度、
『聖書を訳すのは、証すものと神様とどっちが上手ですか?!』
と分かりやすく聞いた。
でもおばちゃんの答えは同じで、
『聖書が一番正しいです。』
と答えた。
私は思いっ切り首を傾げた。
そしてジェスチャーを加え、右手で神様、左手で証すもと例えて、どちらかを聞いた。
おばちゃんは一瞬黙ったが、
『やっぱり聖書が一番正しいですね。』
と答えた。
なので私は、
『証すものの人が説明する方が神様より上手なんですね!!』
とこっちから答えた。
するとおばちゃんは顔の前で手を振り、
『とんでもな~い。神を超える事は出来ません。』
と言ったので、
『という事は、神様の方が説明が上手ということですか?』
と私が聞いたら、
『…はい~、そういう事になりますね。神は偉大ですから…。』
と答えてくれた。
私は嬉しくて、
『神様のほうが説明上手なんですね!!分かりました!!ありがとうございます。』
とホッとした。
でもおばちゃんは感謝されたのに、顔は引きつっていた。
最初からスパッと答えてくれたらこんなに無駄な時間は取らないのに…。

お母さんからこの宗教の人たちは謙虚だからでしゃばったりはしないと聞いていた。
何でも最後まで話を聞いてくれるから安心して話していいからねと言われていた。
それを信じていつも話していたのに、この日は違った…。
私はまだ話があるので、話そうとしたらおばちゃんに、
『私も話があるので私の話も聞いてください。』
と言われた。
なので私は譲った。
先週、おばちゃんが持って来たハガキについてだった。
『私が先週あげたハガキはお読みになりましたか?』
と満面の笑みで聞いて来た。
あまりにも長い文であるのと、的を得ていない文章を理解するのは疲れるし、洗脳されるんじゃないかという思いに駆られた私は全部読まずにいた。
『全部はまだ読んでいません。』
と私は素直に答えた。
おばちゃんの表情がみるみる内に険しくなった。
『どうして読んでいないのですか!!私が夜遅くまでかかって作ったんですよ!!どうしてですか?!お忙しくてまだ読んでいないとかですか?』
と聞いて来た。
何とも返しようがない思いになったけど、
『いえ、そういうことではなくて…。』
とまだ話しているのに、
『では、どういうことですか?!私はあのハガキを作るのにとても時間を使ったんですよ。あなたのためにしたことなのに、どうして読んでいないのですか?私の気持ちはあなたには届いていませんか?』
とたくさん言って来た。
『その気持ちはありがとうございます。』
私はかなり困った。
私があまり何も言わないので、
『ハガキに勉強をまたする気になったら連絡くださいと書いてましたよね?!どうして連絡来れなかったんですか?!メールは壊れているので、勉強をしたくなった時には必ずメールではなく電話をくださいと言いましたよね?!では、どうして連絡を来れなかったんですか?!私はあなたからの電話を待ってたんですよ。どうしてですか?』
とおばちゃんは自分の理想を現実としてなのか、早口でそう言った。
おばちゃんは、“もし”とか“~なら”の意味を分かっているのだろうか…と疑問を感じた。
なので私は、
『はい、もし勉強をするのならですよね?!私はもう勉強をしませんよ。』
としっかりと答えた。
その言葉で分かってくれたと私は思った。
何故ならその言葉におばちゃんが肯いたからだ。
でもそれは違った。
おばちゃんは肯き、
『はい、ですから私は電話を待っていたのに…。』
と私の方が悪いような答え方をした。
私がそれに呆れていたらおばちゃんが、
『ハガキに連絡先を書いていましたよ。』
と言って来た。
私は連絡先が書かれていた事に気付いていなかったので、
『あっ、ハガキの片面だけは読んだんですが、反対側に連絡先が書かれていたのかもしれないです。そっち側をまだ読んでいなかったみたいです。』
と私は素直に答えた。
それを聞いたおばちゃんは目を見開き、ショックを受けたのか口が縦に開くと、
『読んでいないんですか…?私があんなにも一生懸命作ったのに…。あなたは読まなかったんですか…?!』
とまた同じことを言った。
何故だろうか…、私が悪いのかなぁ~と心にその思いが過る。
おばちゃんは、“良かったらハガキ読んでくださいね。”と言っていた。
私はその言葉を信用したので、読みたくもないハガキを読まなかった。
(その文章を読んだ人にしか分からないのだろうけど、そんな感じの文章なのだ。)
そこまで言うのなら、おばちゃんは、“良かったら”ではなく、“必ず”と言うべきだったと思う。
そんなにショックを受けるくらいなら、もうちょっと言葉を選んで、私にどうするべきくらいまで言って欲しかった。
そこまで言ったのなら私も何かしらを考えただろうに…。
私に必要な話かもしれない…とか、ためになることを一生懸命伝えに来たのかもしれない…とかを思っただろう。
でも、強制をしてはいけないのではないですかと聞き返していたと考える方が何故かしっくり来る。
そして私は自分が悪いとは思わなかったけど、ここは穏便に事を治めた方が良いと思ったので、
『すみません。おばちゃんの気持ちはとてもありがたいんですけど、やっぱり勉強はもうしません。』
と伝えた。
『あっ、そうですか。どんなに私があなたのためを思っても無理なようですね。分かりました。』
と冷たくサラッと言われた。
この間、一緒に来たおばちゃんは下を向いていながらも、気になる瞬間木本さんの方を横目でチラッと見ていた。
何を思っていたかは分からないけど、同じ宗教にいたからと言って、何もかもの気持ちが同じになるわけではないのだと私は思った。
そしておばちゃんはこれ以上言葉がなくなったのか、腕時計を見ると、
『私たちもいろいろ忙しくて時間がないので、今日はこれで帰りますね。では、また勉強をしたくなったら連絡をくれるか、合同の勉強会に来てくださいね。私はいつでもそこにいますから…。』
と言っておばちゃんは去って行った。
一緒に来たおばちゃんは何故か驚いた顔を木本さんに向けてから、私の元に駆け寄り、
『あなたに祝福がありますように。』
と早口で言って帰って行った。

その後すぐにお母さんに電話をかけた。
『宗教のおばちゃんがまた来た。』
と言うとお母さんは受話器の向こうなのに見えてしまうんじゃないかというくらい興奮する気持ちが伝わってきた。
『それでそれで、何があった?!』
と聞いて来た。
『聖書をいきなり出してきて、“ここの文章の意味は分かりますか?”って有名な難しい所を言って来た。』
と私は何処の場所かも伝えて言った。
お母さんは、
『はぁーーーっ!!そんな所をいきなり聞いて来たの?!宗教の人たちでもなかなか分からないって言うくらい難しいところよ…。』
と呆れ驚いてそう言った。
『それで私が、上から聞いているので分かりますって答えたら、私に聞いて来たのに、いきなりその訳をおばちゃんが訳した。』