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きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
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また訪問…。~次の週~

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久しぶりに訪問に来た宗教のおばちゃん。
私に勉強に戻って欲しいという思いで訪問に来た。
そして次の週もまた同じ時間に訪問に来た。
いつもと同じ時間にインターホンが鳴った。
次の週に来るとは思わなかったので、インターホンのカメラに映っているおばちゃんの姿に、
“また来た!!”
とついつい思ってしまった。
いつものようにカメラに映っているのはおばちゃん一人だけだった。
ちゃんと守ってくれるところはありがたい。
そして私はインターホンに出て、玄関の扉を開けた。
扉を左に開いて右側におばちゃんが立っていたので、私はいつものように笑顔で会釈しようとしたら、
“あれっ?!顔が違う…。”
と頭を過った。
すると左側に開けた扉の裏からおばちゃんが現れた。
私の顔の眉間にシワが寄った。
おばちゃんは何事もないかのように振る舞い始めた。
おばちゃんは笑顔でもう一人の人を私に紹介した。
今は全く名前を覚えてないが…。
私の顔は引きつって会釈した。
一対一で話したいという私の気持ちを今まで汲み取ってくれていたのに…、どうして出来なくなったんだーーーっ!!という気持ちが心の中を通り過ぎた。
そしておばちゃんは先週と同じ質問を私にして来た。
『まだ、何か変なものとお話はされていますか?』
と聞いて来た。
なので私は笑顔で、
『はい、話してます!!“神様はいなくなりませんよ。”と聞いています。』
と答えた。
おばちゃんはため息を付いて、
『そうですか~。まだお話をされてると…。そのものが消え去るにはあなたがそう思わないと消え去ってはくれないんですよ。そのものはあなたに何をして来ようかと考えているはずです。一刻も早くそのものから離れてください。私はあなたのことがとても心配なのですよ。私の気持ちを分かってはくれませんか?そのものにあなたの心が奪われて行くのがとても心配なんですよ。』
と懇願するように言った。
所々、自分の思いを押し付けているような…、勘違いをされてるような…、こんな風に言われると何とも言いようがなくなる…。
でも一応、
『はい、おばちゃんの気持ちは知っています。神様から聞いていますから…。私の事を祈ってくれてるんですよね?!それはありがとうございます。』
と伝えた。
先週と違いおばちゃんは怯むことなく、
『ですからね、そのものがそういう事を言うかもしれませんが、信じてはいけません。私は神に祈っているのであって、あなたのその何かに祈っているわけではありません。』
と言い返された。
『はい、でも神様は私に、“木本(仮名;おばちゃん)さんが祈ってくれていますよ。”と言って来るので、あ~、おばちゃんはまた祈ってくれてるんだなぁ~と思っています。』
と私がもう一度言ったら、怯まなかったおばちゃんの表情がパァ~っと輝いて、
『そのものが…そう言ったのですか?…私の事をそう言ったのですか?』
と懇願するような表情でそう聞いて来た。
食いつく所はそこかと思いながらも、もう一度私は同じことを伝えた。
『はい、“木本さんが祈っていますよ~。”と言われます。』
と言うと、おばちゃんの表情はもっと嬉しそうに輝くと、
『あなたの話しているその何かが、私のことを木本さんと…、そう言ったのですか?』
と訴えるように私にもう一度聞いて来た。
私は肯き返事をした。
おばちゃんは上(神様)の言葉を何度も何度も頭の中でリピートさせているように私には見えた。
その間十秒ほどだったと思うけど、会話はなくひたすらおばちゃんの浸りが終わるのを待った。

そして我に返ったおばちゃんはいきなり緩んだ表情を元に戻し、
『そういうことはいいので、…では…ここの文章の意味が分かりますか?』
と聖書を出しいきなり聞いて来た。
そんなおばちゃんに私は付いて行く!!
聖書の一部分だった。
『はい、そこは何度も読んだことがあります。神様に訳を教えてもらいました。』
と答えると、おばちゃんに“では、訳してください。”と言われると思ったけれども、そうではなく、おばちゃんの表情がムキになると、おばちゃんが自らそこを訳し答えた。
なので、中途半端な時間が流れた。
『私もそんな感じの訳として聞いています。』
と私は答えた。
その時には上はちゃんと答えなかったけど、後々に、“同じような訳ですが、内容の深さは全然違いますよ。恐らく宗教の方々は勘違いしているのでしょう。”と言っていた。

そしておばちゃんは、
『あなたのその何かが訳したかもしれませんが、私達とは違います。』
と言って、聖書のそこの部分の話は終わった。

そして話を変えたおばちゃんはこれまたいきなり、
『人は死んだら神になるんですよ。』
と笑顔だけど、ドヤ顔で言って来た。
神様は一人しかいないと宗教からも上からも聞いているので、唖然としてしまった。
上も突拍子もなかったからか、口をポカ~ンと開けて呆れていた。
一緒に来たおばちゃんはずっと下を向いて黙っていたのに、その瞬間パッと顔を上げおばちゃんの方を呆れた顔で見ていた。
そのおばちゃんの動きが早かったので、私はそのおばちゃんを見た。
木本さんは自分が見られている事に気付いていなくて、一緒に来たおばちゃんは私が見ていることに気付いていなかった。
そして私が唖然としている姿に木本さんは気付いていなかった。
唖然としたまま、
『死んだら…神になる…?!』
と私は傾げながら聞いた。
その質問に一緒に来たおばちゃんは我に返りまた下を向いた。
そしておばちゃんはもう一度、
『はい、人は死んだら神になるんですよ。…知りませんでしたか?』
と偉そうに聞いて来た。
その言葉を聞いて一緒に来たおばちゃんはまた顔を上げ、木本さんの方を少し口を開け驚いて見ていた。
その姿をまた私が見ていた事にそのおばちゃんは気付いていなかった。
それよりも木本さんはしてやったりという顔で私を見ていた。
私は落ち着いて、
『死んだら神になるんですか?』
と聞いたらおばちゃんは嬉しそうに肯き返事をした。
私は訝(いぶか)しげな表情で、
『人は死んでも神にはなりませんよ。…神は一人しかいませんよ。』
と言うと、おばちゃんは当たり前な言い方で、
『はい、神は一人しかいません。』
と言うので、
『はい、なので人は死んだら神にはなりませんよ。』
と私は訝しがなまま言った。
でもおばちゃんは、
『神はお一人です。ただ一人の神がいます。…でも人は死んだら神になるのです。』
と意味不明な事を笑顔で言った。
ここまで言っておいて、いつもその先に何も答えがないのだ。
一緒に来たおばちゃんは、途中から下を向いていたけど、木本さんの言葉に疑問が出るのだろうか…たまに下を向いたまま首を傾げていた。
今になって上は言う。
“人とはなかなかウソを付けないのですね。”と。

私は疑問があったので、聞くことにした。
『聖書を訳すことについてなんですけど、おばちゃんたちには霊感があって聖書を訳しますが、証すものが訳すのと神様が訳すのとどちらが聖書の説明が上手ですか?』
と聞いた。
おばちゃんは苦笑いのまま数秒固まっていた。
そして、
『聖書が一番正しいと思います。』
と選択肢が増えて答えた。