ゴキブリ勇者・魔王と手下編
男「罰ゲームはなにがいいかなぁ」
女「そうだねぇ」
魔王「あんま変なこと言うなよ。俺だってもう立派な大人なんだから」
男「あら、そうだっけ?」
魔王「ちゃんとハタチのお祝いしたろ。もう、お酒もタバコもオッケーってわけ」
男「ふーん、そんなダンディーな魔王様には彼女の話をしてもらおうかな」
魔王「ガホッ!ゲホッガフッ!」
女「大げさだねぇ。まさかバレてないとでも思ったのかい?」ニヤニヤ
魔王「な、なんだよお前ら……。いーだろ、恋したって!」
女「駄目とは言ってないだろ。で、相手は誰なんだい?」
魔王「いやー、言っても分かんないと思うよ?だから言わない」
男「そういうこと言うなら、俺が大声で言ってあげよっか。魔王様はー!」
魔王「やめろよ!つーか誰だか知ってんのか?」
男「今は、知らない」
魔王「……言えばいいんだろ、全く」
女「前フリはいいから早くしな」
魔王「……カナちゃん……」
男「ん?」
魔王「いや、でも好きだって言われただけでまだ返事してねぇし。
付き合ってるとかそんなんじゃねーし」
男「いやね、オジサン耳がちょーっと遠くてね。今、なんつった?」
魔王「おい、なんで拳を構えるんだよ。お前は関係ないだろ!」
男「俺のカワイー甥っ子の幼馴染みの名前が聞こえた気がしてね。
今、カナちゃんは何才だっけ?」
魔王「14……」
男「で、マサトちゃんは何才でしたっけ?」
魔王「……20……」
男「このロリコン野郎!」バキッ
魔王「ぐはっ!……だから、まだ返事もしてねっつーの!
突然告白されただけだよ!」
女「で、アンタはその子のこと好きなのかい?」
魔王「よくわかんねーけど……俺のこと好きだって言ってくれんのは嬉しいな」
男「このロリコン」
魔王「タンマ!もういちいち殴んなよ!」
男「全く……一体どうする気なのよ」
魔王「いや……とりあえずは断るよ。それしかねーだろ」
男「なんだと!お前14才なんて一番ヤバイ時期の子をふるつもりか!」
魔王「はぁ!?なら俺にどうしろっつーんだよ!」
男「そんなの自分で考えなさいよ。もう大人なんだから」
魔王「うぅ……そうだな。
じゃあもしハタチ越えても俺のことが好きだったら付き合うとか、そんなんでいいかな」
女「なんてやつだ。気を持たせて6年も引き伸ばすつもりかい。
サイテーだね」
魔王「ああもう!ならどうすればいいんだよー!」
男「まぁ、とりあえず友達になっちゃえば?
清く正しいお付き合いでもすればいいじゃない」
魔王「いや、でもなぁ。俺の魔王としてのイメージもあるし……。
あんまり軽率なこと出来ないだろ」
男「そんなときに取り出しまするは、この電話。
なんともうつながっちゃってるんだなー」
魔王「だ、誰と?」
男「シュウトと」
シュウト「呼び出されましたー!」バンッ
魔王「うわっ!」
シュウト「いやーカナちゃんと付き合ってくれるんだね、ありがとう!
俺もカナちゃんのことが大好きだから応援してるよ!」
魔王「お、おい!コイツ絶対応援する気ないだろ!
ものスッゲー睨まれてんだけど!」
男「まぁ、デートの時はシュウトが同行してくれるから。
誰かに見られても言い訳できるでしょ」
シュウト「いやー良くできたおじさんなことで。
人の恋路に首突っ込んでそんなに楽しいかね。
おじさんはいつ結婚するんですかー?」
男「まぁ、お前たちよりは先だね。
お前たちは結婚なんて出来ないだろうし」
シュウト「俺、おじさんのこと大好きだわ。ぶちのめしたいくらい」
男「ホントに?全くカワイーんだから」
魔王「なんだコイツら……こっえ」
女「この二人はわりといつでもこうだよ。
こんなに似てるのに、なんでケンカしちゃうんだか」
シュウト「あはは、サヤカさん、早くこの人と結婚してあげてね。
この間だって、結婚したいーって大泣きしてたんだから」
男「そうなのよ、俺センチメンタルになっちゃって。
早くゴンドラでモクモクしたいわー」
シュウト「くっ……この……!やっぱり一発殴らせろ!」
男「ちょっとやめた方がいいよ?
俺ってそれなりに強いから、自然と反撃しちゃうのよ」
シュウト「イテテテテテ!!」
魔王「はは、全く騒がしいな」
女「そうだねぇ。あ、漫才師にでもなったらいいんじゃないか?
お前らならピッタリだろう?」
シュウト「そんなこと良いから助けて!イテテ!!」
作品名:ゴキブリ勇者・魔王と手下編 作家名:オータ