小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

ゴキブリ勇者・魔王と手下編

INDEX|10ページ/16ページ|

次のページ前のページ
 

「おめでとーっす。お祝いに洗濯機作ってやったから、受けとれよ」

「はは、全く相変わらずだな。アンタらも、お変わりないようで」

「まぁね。私たちは変わる必要もないからねぇ」

「えー、俺たちも式あげようよ。ドライアイスでもくもくしてる中、ゴンドラに乗ってさ」

「それいつの時代の結婚式だよ。曲はてんとう虫のサンバか?」


魔王様のツッコミに俺は渋い顔をした。
そんな俺の隣で、あの人は暗い顔を一瞬だけ覗かせた。
俺は気がつかないふりをして、ワインに口をつけた。


「あー、月が綺麗だねぇ」


それから、二次会も終わり、俺たちは帰路についていた。
月が煌々と輝き、俺たちに柔らかい月光を浴びせていた。


「いやーホントにキレイ!
食べちゃいたいぐらいだね」


俺たちは酒に酔いながら、川原をフラフラと散歩していた。
なぜか魔王様まで酔って千鳥足になっている。
お前はまだ十代だろ!と言ってみたけど、酔いが覚めるわけではなかった。


「あーもう、私たちも結婚式あげたいねぇ。
モクモクでゴンドラのやつ。いいじゃないか」

「ホントに~?ホントなら俺引いちゃうな」

「お前が言い出したんだろー。いいからお前ら結婚しちゃえよ!」

「しちゃうか!そんで庭付きの白いお家に住んじゃうか!
大きな犬を飼うのが夢だったのよねー」

「乙女チックな夢だねぇ。まぁ、アキラがそうしたいなら、好きにしな」

「マジで?やったね」


俺たちは酔ったふりをしながら、川原を歩き続けた。
今日は空気が澄んでいて、星の瞬きが見える。
もし流れ星が通ったら、今の俺ならなにを願うだろう。
何十年もたった時の俺なら、なにを願うだろう。


「月が綺麗だな」

「そうだねー。月が綺麗だ」


もし何十年もたった時、俺がこの人といられたら、その時はお願いを叶えてください。
突然通った流れ星に、俺はそう願った。


「今なんか光ったぞ!流れ星じゃねぇの!?」

「多分ね。見れてラッキー」

「ラッキーじゃねぇし!願い事しとくんだった……」

「あら、魔王様はなにを願うおつもりで?」

「これからも三人で一緒にいたいってお願いしたかったんだよ」

「へぇ、それは素敵なことで」


俺は何十年後かのお願いに、魔王様も追加した。
闇の中にキラキラと光る星は、とても綺麗で、今の俺にはまだ眩しすぎた。


ー続く→