ゴキブリ勇者・魔王と手下編
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女「あの話、本当なのかい?」
男「えっ?」
女「結婚したいって、大泣きしたっていう」
男「まぁ、嘘だよ。さすがにそこまで俺はバカじゃないから」
女「そうなのか、それは残念だねぇ」
男「あはは、そう?」
女「ああ。だって私はバカだからね」
グイッ
男「……!」
女「……とまぁ、こんな具合にな」
男「……あのねぇ、これはいくらなんでも反則だから」
女「そうかい?私だってこれでも我慢した方だよ」
男「はは、照れちゃうからやめてよ。全く、空が綺麗なこと」
女「そうだねぇ……こんなに綺麗な空が見れるとは思わなかったよ」
男「俺もだよ。でもきっと空はいつでも綺麗だったんだろうね。
俺たちが気がつかないだけで」
女「ふふ……そうだねぇ。でも、お前のおかげで気づけたよ」
男「俺もきっと君のおかげかな。ありがとう」
女「どういたしまして。これからもよろしくな」
男「ああ、よろしく」
タタタッ
魔王「なー、スイカ食おーぜー。俺が切ってやったから」
男「お、スイカなんて夏らしくていいねー。花火もあれば言うことなしだけど」
魔王「明日花火大会があるらしいぞ。みんなで行くか」
男「まっちゃんはカナちゃんとシュウトを誘いなよ。
じゃないと可哀想でしょ」
魔王「……まぁな、仕方ないからそうしてやるよ」
女「じゃ、スイカ食べるか。塩は?」
魔王「ほい」
女「ん……なんだこれ。固まって落ちてこないぞ」
男「湿気にやられちゃったのねー。魔法でなんとかなんないの?」
女「お前な……魔法をなんだと思ってるんだい?」
男「あはは、いただきまーす」
女「ったく……」
流れ星のお願いを、何十年後じゃなく明日に変えてもいいだろうか。
俺はそっと笑った。
ー続く→
作品名:ゴキブリ勇者・魔王と手下編 作家名:オータ