小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

ゴキブリ勇者・結婚編

INDEX|6ページ/15ページ|

次のページ前のページ
 

「入るよ」


彼から許可をもらって、俺は彼女と話すことになった。
部屋は都合よく個室で、彼女はポツンと一人で横になっていた。


「今、彼がどんな状態か話しに来た。
答えなくていいから、ちゃんと聞いてね」


やはり返事はない。俺は構わず話続けた。


「彼ね、全身に湿布を貼ってるんだよ。しかも痛み止めと胃薬を大量に飲んでる。
止めても聞かないんだ」


彼女に反応はなく、寝ているのかもとさえ思った。
しかし、寝ているときよりもさらに、体の動きが少なかった。


「前に俺のせいで、俺たちが死んだことがあるよね。
その時のショックを彼はまだ忘れてないんだ。
俺が偉そうに言えた義理じゃないけど、でも見ててかわいそすぎるよ」


相変わらず動きは少ないままだ。


「君もちょっと酷すぎるんじゃない?
なんの説明もなく、こんなことするなんて。
君も彼も痛々しすぎて見てられないよ。
なんでもいいから話してくれないかな」


突然、彼女がそっぽを向いたまま起き上がった。


「じゃあ、先生は私の話を受け止めきれますか。
安っぽい慰めで終わるんじゃなくて、本当に心の底の方で聞いてくれますか」

「ああ……聞くよ」


はっきり言ってさほど覚悟はできていない。
でも、聞かなければ彼女は死んでしまうだろう。
俺は中途半端な気持ちのままうなずいた。


「私の父の話をしましょう。これは誰にも話したことはありません」


温度の無い声で、彼女は淡々と話始めた。
作品名:ゴキブリ勇者・結婚編 作家名:オータ