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ゴキブリ勇者・結婚編

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とりあえず死んではいないらしい。
知らせを受けた先生も病室に来て、俺たちは久しぶりに三人で集まった。
しかし、アイツは一言も喋らなかった。


「なにか、自殺未遂のきっかけになるようなことはありましたか?」

「多分俺のせいです……」


自殺未遂、という言葉は他人から聞くと、とても重たかった。
それも先生の時より、はるかに状態が悪く、危うく死んでしまうところだったらしい。

俺のせいだ、それしか考えられなかった。


「なにを言ってるんだ。君のせいじゃないよ。自分を責めちゃ駄目だ」


先生が全面的に俺の味方についてくれたので、病院側はそれ以上追求しなかった。
だけど、俺はメシも食えないほど胃がやられてしまっていた。
胃のある位置の背中側まで痛い。
それにつながって肩も痛ければ、太もも激痛で、湿布をしてないと立っていられないほどだった。

しかし、それでもアイツの方が辛そうだった。


「……もう、俺と付き合ってくれとは言わない。だから死なないでくれ。
俺、お前に死なれたら生きていけないよ……」


アイツはなにも答えず、ただ泣くだけだった。
俺にはもうどうすることもできない。
もしかしたら俺は死んだ方がいいのかもしれない。
そう思うほど、追い詰められていた。

そんな俺達を見かねて、先生が静かな声で言った。


「彼女と二人で話させてくれ」


俺は頷くことしか出来なかった。
作品名:ゴキブリ勇者・結婚編 作家名:オータ