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ゴキブリ勇者・結婚編

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「おめでとーっす。お祝いに洗濯機作ってやったから、受けとれよ」


また魔王が訳の分からないことを言っている。
しかも、テーブルの料理をかなり食い散らかしていた。
俺は苦笑いをした。


「全く相変わらずだな。アンタらも、お変わりないようで」

「まぁね。私たちは変わる必要もないからねぇ」

「えー、俺たちも式あげようよ。ドライアイスでもくもくしてる中、ゴンドラに乗ってさ」

「それいつの時代の結婚式だよ。曲はてんとう虫のサンバか?」


魔王達がバカらしい会話を続けるので、俺はやっぱり笑ってしまう。
こんなに幸せな日が来るなんて、俺は想像もしてなかったから。
ちょっと泣いた。


「なーに泣いてんだよ。他のテーブルにも行くんだろ?
まぁ、新婦の職場のやつにはなんか言われるかもしれねぇが、スマイルで乗りきれ」


魔王がにっと歯を見せて笑うので、俺もにっと笑って見せた。
そうしている内にお色直しが終わり、真っ赤なドレスを身に付けたエリカが現れた。
一番みとれてたのは俺だと思う。


「どうした?」

「いや……今日が幸せすぎて、戸惑ってるだけだよ」

「ふふ、君は心配性だからな。まー、大丈夫だ。
これからなにがあっても、私は君のことを愛してるよ」

「そうか……ありがとう」

「はっはっは。もっと感謝したまえよ」


本当に、エリカを選んで良かったと思う。
本当に、ここにいられることを心から幸せだと思う。
六月の花嫁じゃないけど、エリカを必ず幸せにすると俺は誓った。
作品名:ゴキブリ勇者・結婚編 作家名:オータ