ゴキブリ勇者・結婚編
数ヵ月後、俺たちは式をあげた。
来年の六月まで待っても良かったのだが、お互いに早く結婚式をあげたいと意見が一致したので、みんなを呼んで盛大に祝った。
司会やその他もろもろ、先生が走り回ってくれたおかげで、式は滞りなく進んだ。
俺はずっと笑っていたが、その反面ずっと泣きそうだった。
だけど、誰よりも俺が一番幸せだった。
「俺たちも結婚式あげたいな!マリ」
隅の方の席で、カズキが笑っている。
マリはうっとうしそうに、あしらっていた。
「あのねぇ、結婚式なんてかなりお金かかんのよ。私たちじゃ無理よ」
「そんな夢のないこと言うなよ。あの勇者だって式あげてんだぜ」
「あの勇者ってのは、誰のことだ?」
「よ、よう。幸せそうでなにより」
「ありがとよ。そういえば、お前らにまだ名乗ってなかったな」
「え?」
「俺はマコトっていうんだ。アイツはエリカだよ。
これからもよろしくな」
二人は少し驚いた顔をして、そして鼻で笑った。
「今さら過ぎない?バッカじゃないの?」
「全くこれだから、お前は……まー、良かったな」
「ああ、お前らのおかげだよ」
俺は別のテーブルへ向かうことにした。
そんな俺を、カズキが引き留める。
「まだ恐竜の化石持ってるか?」
「ああ?なんだそれ」
渋い顔をするカズキに俺は笑った。
「恐竜じゃなくて、怪獣だろ」
ポケットから白い塊を取り出して、カズキに見せる。
俺は今度こそ別のテーブルに向かった。
作品名:ゴキブリ勇者・結婚編 作家名:オータ