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ゴキブリ勇者・結婚編

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それから何年かたって、俺たちは二人じゃなく三人になっていた。
娘にはエリカと話し合ってアイと名付けた。
真っ青な空を見上げながら、エリカが笑う。


「幸せだなぁ。
マコトとアイと私と、三人で一緒にいるってだけで、なんだか幸せだ」

「俺もだよ。
空が晴れてて、アホな奥さんがいて、可愛い子供がいて、これ以上幸せなことはないな」

「私はアホじゃないぞ。
少なくともマコトにアホ呼ばわりはされたくないな」

「はは、確かに俺の方がアホだな。
エリカなんか選んじゃってさ」

「ふーん。そういうこと言うの。
カレーを中辛にされたいようだな」

「エリカだってそれじゃあ食べれないだろ。
アイだけは平気だろうけど」

「不思議だよな。子供なんて、それほど親に似ないってことなんだろうか……」


エリカがぼんやり遠くを見ているので、俺はなんとなく膝の上に頭をのせた。


「おい、なにしてる」

「突然、ひざまくらして欲しくなった」

「バカだなぁ、全く。まぁ、許してやるよ」


空はどこまでも青く遠く澄みわたっている。
ぼーっと眺めていると、視界にアイが映りこんできた。


「パパー!なにしてんの?」

「ん?ママに甘えてんの」


ママが俺の頭をぺしりと叩くので、俺はゆっくり起き上がった。
アイが持ってきた沢山の花で冠を作ると、アイは嬉しそうにしていた。
なんて幸せなんだろう、ふと思った。


「じゃー、先生のウチに行こうか。
先生は教育上よくないから、来ない方がいいとか言ってたみたいだけど」

「ちょっと気にしすぎだよな。カマ喋りになったって、私たちは気にしないのに」

「先生はそういうとこ細かいからな。
いや、でも俺たちもちょっとは気にするべきかな?」

「別にいいだろ、このままで。
それでも毎日が楽しいんだから」

「そだな。じゃー、先生んちに出発だ!」

「やったー!お菓子ー!」

「はは、アイにとって先生はお菓子なのか」

「確かにちょっとあげすぎってぐらいあげるよな。
まぁ、たまにだからいいけど」

「そーだな。パパもお菓子もらおっと」

「えー!」


柔らかそうな草が地面で揺れている。
色とりどりの花も咲いていて、俺はその中に蝶を見つけた。
二人も見つけたようで、俺たちは三人で笑った。
モンキチョウがゆらゆらと花の間を舞っていた。



ー終わりー
作品名:ゴキブリ勇者・結婚編 作家名:オータ