はじまりの旅
「リリィは過酷な場所で暮らしているんだな。自分を犠牲にしてまで観光客をもてなすとは大した心構えだ。」
「そういうことになりますね。」
「もし、リリィが許してくれなかったら、僕達は神域に立ち入ることが出来ないの?」
ムーが心配そうに尋ねる。
「そういうことになりますが、どうしても神域に入る必要がある人なら入れてくれると思いますよ。リリィはそこまで厳格ではないので。それでも、神域に入るには事務手続きが必要なのでお日にちを頂きますけどね。」
と言うフィンの話を聞いてムーはほっと安心するように息を吐いた。
「では私は神域への手続きを済ませて来ますが、こちらは皆さんで行かれるのですか?」
と、フィンは一向に尋ねる。
「…うーんと、ディッシュは休まないといけないから、ニタとハッシュとククとムーの4人で行くよ。」
「分かりました。では、明日の夜までには手続きが完了すると思いますので、皆さんはそれまでどうぞハワイ島でごくつろぎ下さい。また何かありましたら、お電話で呼んでくださいね。」
そう言って、フィンは部屋を出て行った。