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きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
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コーヒーの味。

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と言ったところで、百倍にして否定が返っくるので言わずにいた。
旦那さんにお母さんが自慢をしてくると伝えたところ、
“言わせておいたら良いよ。後でちゃんと現実が分かるから。”
と言われていた。

そんなある時に、またお母さんから電話がかかった。
“お客さんが来たんだけど、お母さんコーヒーを出したの。そしたらみんなに美味しい、美味しいって言われたの~。今日も上手に出来たの~。”
と自慢する言葉が届いた。
“ああ、そうですか。でも私は飲んでないので感想なんて言えません。…本当にちゃんと出来たんだか…。”
と言っていると、何故だろうか…、私の口の中でコーヒーの味がし始めた。
私は不思議に思いながらもその味を辿ってみた。
そしてお母さんに、
“本当にコーヒーは上手に出来たの?!”
と伺うように聞いてみた。
“どうして?!ちゃんと出来たよ!!だからお客さんも美味しいって言ってくれたって言ったじゃない。”
とお母さんは言う。
やっぱり勘違いかと思う私は、一応聞くことにした。
“今日のコーヒーってちょっとお湯っぽくなったんじゃないの?!豆から出来る量よりも多めに作ったりとかしてない?!”
とまた私は伺うように聞いた。
どうしてだろうかお母さんの反応が止まった。
そしてバツが悪そうにお母さんはしどろもどろに、
“ううん…、…そう…。でもちょっとね、ちょっと…。どうして分かったの?!”
と言った。
“何か…口に味が届いた。それでこの味をお母さんは美味しいと言っているのか…?!って思ったから聞いてみた。”
私もどう伝えたもんかと思いながらそう言った。
お母さんは驚いたようで、
“ウソッ?!そんなことまで分かるの?!…と言うことは、上(神様)がしたって事?!”
と言った。
“分からないけど、それ以外で考えれるかなぁ~?!”
と首を傾げながら私は言った。
“それ以外考えられないよねぇ~。そんなことまで出来るのか~。”
“それよりも、こんなコーヒーで美味しいとか言ってるの?!全然出来てないよ!!何が私よりも美味しいよ!!全然違う!!一緒にしないでっ!!”
と私は言ってやった。
それよりもお母さんはまさか味が分かるなんて思ってもなかったようで、急に偉そうに言わなくなった。

また次の日、お母さんはコーヒーを入れたので電話をかけてきた。
電話に出るなり、
“コーヒーを作ったんだけど味はどう?!今日は良いと思うんだけど…。”
と言って来た。
私は自分の意志で出来るわけじゃないんだからと困った。
そう言おうとしたら口の中に味が届いた。
“あっ、味がする!!…今日のはねぇ~、味は濃ゆく出てるんだけど、何かがおかしい…。これは~、…アクかなぁ~。アクが出過ぎてるから、無駄に苦味と酸味が出てるから~…。”
と言っていたら、お母さんが、
“そう!!そうなの!!その通りなの!!昨日よりも美味しいとは思ったんだけど、あなたに言われてアクが出たって分かった。どうしてこうなったの?!”
とまた無茶を聞いて来た。
私は困って唸ってたら、上がお母さんのコーヒーを作ってる所を見せた。
それで分かった。
“あーっ!!お母さん分かった!!分かったよっ!!豆の量に対して最初の蒸すお湯の量が少ないのとお湯が豆全体に行き渡ってない。と言うことは、この最初の時点で失敗ということになる。”
と私は説明した。
お母さんは自分の工程を思い出したようで、
“あーーーっ、分かった、分かった!!はいはいはい。そういうことね。そこが出来たら大丈夫ってことね!!分かった。”
と勝手に話を終わらせた。
私がそれだけじゃないということを言いたかったのに、
“もういい!!後はお母さん一人で出来るから!!”
と私にはそれ以上言わせてくれなかった。
ふと上が出て来て、
“良い良い。勝手に言わせておきなさい。どうせまたちゃんと出来なくて言ってくるんだから。”
と言った。
なので私は上の言い分に従うことにした。

そしてまた次の日、それは案の定だった。
お母さんから電話がかかって来て、オロオロしながら、
“今日もお母さんコーヒーを入れたんだけど…、味がドンドン変わって行って、何が良いのか分からなくなった~。どうしよう~。”
と泣きそうな声で言って来た。
上が、
“ほらね、言わんこっちゃないのよ~。”
と呆れて言って来た。
私も無言で呆れた。
そして飲みたいわけでもないのに口の中にコーヒーの味が広がって来た。
“…何がしたいか分からない味…。何をしたの?!”
と私は面倒くさそうに聞いた。
お母さんは罰が悪そうに、
“う~ん、あなたに教えられた通りにしただけ…。何が悪いかも分からない…。どうしたら良い?!…コーヒーが美味しくないの…。”
と落ち込んでいるのが良く分かった。
でもどうせ私がまた問題点を言って良くなったら偉そうになるのだろうと頭を過ったけど、それは言わずに、もう一度お母さんのコーヒーを味わって、
“豆の量は計量スプーンで三杯?!”
と私は聞いた。
“うん、ちゃんと三杯…。”
“…いろいろ問題点はある!!”
“はい。”
とお母さんは小さな声で返事をした。
“先ず、豆を蒸す時にお湯が底まで届いてない!!”
“…はい。”
“最初に蒸す時のお湯の量も足りない!!”
“あっ、…はい。”
“蒸し終わってお湯を注ぎ続けるお湯の量も注ぎ足す度にばら付きがある!!”
“あっ、…はい…そうです。”
“最初の時点で失敗してるから、何処が悪いとか言っても意味が無い!!”
“はい。”
“最初の蒸す所から間違ってるーーーっ!!そこから練習!!”
“はぁ~、…はい。練習かぁ~。”
“何か問題?!嫌なら豆は送りませんが…。”
“あーあーっ、練習します。なので豆を送ってください。”
“ですよねぇ~。上と相談しながら抜き打ちチェックをします!!”
“あーっ、…はい。”
そして上がお母さんに、
“お母さん、美味しいとは何ですか?努力とは何ですか?”
と言ったので、お母さんは黙った。
この出来事のおかげで、お母さんは少し偉そうじゃなくなった。

またしばらくして、お母さんが偉そうにではなく、
“今日、お母さん、コーヒーを作ったんだけど、良い出来と思ったから電話したんだけど、どうかな~?!”
と聞いて来た。
私の口に味が届いたので、それを味わい、
“ん~…、まあ美味しいかなぁ~。お母さんにしては良い出来と思う。”
と言ったら、お母さんは急に態度を変えて、
“何よ~。美味しいと思うんならそう言えばいいじゃないの~。あなたのコーヒーより美味しいと思ったんじゃないの?!”
と偉そうに上から目線で言って来た。
私はその変わりように驚いて、
“何っ?!その上から目線は?!”
と言ったけど、お母さんは変わらず、
“認めたら…。”
と言って来た。
私としては今回のコーヒーの味を自分と比べて、私がいつも入れているコーヒーの味よりも美味しいとは言えなかった。
ただそれだけなのに、お母さんはすぐこうなる。
私が困っていると上が出て来た。
“お母さん、上が出て来て、《お母さん、安定ですよ安定。》って言ってるよ。”
と伝えたら、
“あっ…。”
と小さな声が聞こえた。
そして上は続けて、
作品名:コーヒーの味。 作家名:きんぎょ日和