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D.o.A. ep.58~

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「まだ起きておいででしたか、シューレット殿下」

白いカーテンがたなびくテラスに、よく知る姿を認めて、顔を綻ばせる。
将来、アルルーナを背負って立つことになる、とうとい人。―――未来の王。
彼女が帰る日をどれほど待ちわびたか。
可憐な青い華は、しかし異境での経験を糧に、よりしなやかに強くなった。

「目が冴えてしまって。なにせいろいろありましたもの」
「それはそれは。王都へ帰られた暁にはぜひまた、積もる話をお聞かせ願えますかな」
「ふふ、よくてよ。それより…こちらでは変わりありませんでしたの?」
「は。陛下もダラステュース様も宰相閣下も、ご壮健であらせられます。…いや、ひとつだけありましたな。
ダラステュース様の御子のご誕生という一大事が」
「まあ、本当ですの?それで、どちら?」
「兄君様によく似ておいでのご息女でございます。母子共々健康そのもので、民は皆大いに喜んでおりましたぞ。
宴の場に殿下がおられず、そのことが残念でなりませなんだな」
「ならばさぞ、賢そうな顔立ちでしょう。わたくしの、姪でもあるのね…早く顔が見たいですわ」

慈愛に満ちた眼差しに、刹那かげりがうまれるのを、決して見逃すことはない。
それを指摘することも、もちろんしない。

「―――ナファディ卿」
ただ巨躯を折り、たった一人のためにひざまずくだけだ。

「わたくしは、今代の繁栄を一層確固たるものにし、更なる高みへと導かねばなりません。
皆が幸福を得られる国に…此度の留学で、その思いを強くしましたわ」
「は。殿下。なにかとご不安もございましょうが、このナファディ、臣下の端くれとして尽くしてゆく所存。アルルーナの、殿下の御為ならば、どのような事とて厭いませぬ」
「ありがとう。そなたの忠誠に、わたくしは必ずや報います」

二十歳そこそこの娘とは到底信じられぬほど、決意を秘めた姿は毅然としている。
何カ国かの王族たちを見てきたが、彼女と同年代で、彼女ほど王族としての自覚と責務をしかと背負う者はいなかった。
それは、いささか完璧足ろうとしすぎではないかと、危ぶむほどに。
なればこそ、尽くしたくもなるのだろう。

それがたとえ、彼女の意に、全く添わぬやり方であったとしても。



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作品名:D.o.A. ep.58~ 作家名:har