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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夕美」 最終回

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話し終えて、大森家に戻った夕美は隆一郎と由美子のいる前で、自分の思いを語った。それは、雅子に後押しをしてもらえたことで思い切れた決心でもあった。

「隆一郎さん、私はまだ高校生の身分ですから、今すぐに何ができるのか解りません。卒業して社会へ出ることが許されるのなら、社会勉強もしてみたいです。
大学を卒業されて、就職なされたら、その時にはどこへでもついてゆきます。それまでは兄弟たちのことも考えさせてほしいです」

「夕美、決めてくれたんだね。おれは許されるのならこの家で暮らしてゆきたい。母さんのこと一人には出来ないんだ。それだけのわがままを許してくれないか」

「はい、とても大切なお気持ちだと思います。私も母と思ってずっとこれからもいろいろと教えて頂きたいです」

「母さん、これで決まりだ。父さんのような一流銀行に勤めることは出来ないけど、大学を出たらそれなりの就職口を見つけて頑張るよ。
夕美も好きだったら仕事を辞めなくてもいいよ。母さんが家に居るから、子供が出来ても世話してくれるだろうし」

「子供ですか?まだ考えもつかないです。自分が子供ですから・・・」

「夕美が子供なわけないだろう。けど、おれの前では甘えてほしい。頼りないと思うだろうけど、そうしてくれよ」

「はい。隆一郎さん。よろしくお願いします」

「よろしくだなんて言うなよ。もうみんな家族なんだ。普通に話せばいいよ。それより、お義母さん、なんて言ってたんだ?賛成してくれたのか?」

「はい、義父も喜んでくれました。お義母さんには大森家の為に頑張るようにと励まされました。とてもうれしいことです」

「夕美はあんな目に遭わせられたのに、そのように思えるんだ。すごいよ。おれなんか父親を嫌ったりして、器が小さいよ」

聞いていた由美子が口を挟んだ。
作品名:「夕美」 最終回 作家名:てっしゅう