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てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
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「夕美」 最終回

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「隆一郎、そのことに気付いただけで成長しているわよ。これからは私にじゃなく夕美の為に男らしくなるのよ。約束してね。悲しい思いをさせたら母親が許しませんよ」

「母さん、わかってるよ」

夕美は自分がこんな風に二人から慕われていることに嬉しさを隠しきれなかった。
これで兄弟たちがそれぞれに独立できたら言うことは無かった。
まだ話の内容が呑み込めない晴樹は夕美の笑顔に自分も笑顔で応えていた。

雅子と誠一郎に由美子と隆一郎が挨拶をして両家の間で夕美と隆一郎の婚約が成立した。
結婚式は四年後の隆一郎が卒業して就職した年と決めた。
夕美は先に就職をして得られた収入で晴樹の学費と世話になっている弟と妹たちの学費の支援を申し出た。
兄弟みんなが高校を卒業するまでそれは続く。隆一郎は夕美の気持ちを優先して晴樹を除く兄弟が卒業するまで仕事を続けられるように協力した。

夕美が母親になったのはもう30歳を目の前にしてからであった。
俊之の墓前に隆一郎は子供の誕生を報告した。

「父さん、子供が出来たよ。父親になって父さんのおれへの強い思いが解るようになった。これからもそちらから応援してくれよ。
母さんには世話掛けるけど許してくれよな。夕美と結婚して幸せだよ。本当にこの家に迎えてくれて・・・ありがとう」

夕美がこの家に来なかったら自分はどうしていただろうかと本当に考えてしまう隆一郎だった。赤ちゃんを抱っこしてあやしている夕美の笑顔が、かけがえのない家族だと強く心に刻まれた事であろう。
作品名:「夕美」 最終回 作家名:てっしゅう