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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
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そらのわすれもの6

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優太は言葉に詰まりつつ、知秋に提案をした。とにかく、この状態のまま、日没にはなりたくなかった。ふと、知秋の机が視界に入る。夜空のポストカードが貼られたコルクボードが目についた。
「星でも観に行かないか?」
「どうやって?」
あまりにも自分の気持ちから外れた言葉に知秋は驚きを隠せない。
「プラネタリウム行かないか?」
「偽物じゃん。」
知秋は呆れた顔をする。
「人間の偽物が夜空の偽物を観に行く感じで嫌。」
「なんだよ、それ。」
優太は少し笑う。場を和ませようと明るく話しかける。少しでも、目の前にいる女の子に悲しい思いをさせたくなかった。自分には大した力はないことを優太は理解していた。だからこそ、自分ができることをしようと思った。
「偽物が本物になるために星を観に行こう。」
知秋は優太がまだ自分に関わろうとしてくれることが嬉しい半面苦しくて、でも、手放せなくて応えた。
「うん。」
「今日はごめんな。」
「ううん…あたしが悪い。ありがとう。ごめん、ちょっと眠い。」
知秋は手を伸ばす。
「悪い…眠るまで少しだけ手を握ってて…。」
優太は戸惑いながら伸ばされた手を握ると、知秋は安心して泣きつかれて寝てしまった。表情が柔らかい。

「望めば、偽物が本物らしくなることもあるんじゃないかな…。」
優太はそう口にすると、繋いだ手をしばらく見詰めていた。