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てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
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「夕美」 第九話

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「いえ、そういうわけではありませんが、義母が私に辛くあたったのは自分が幸せを感じられなかったからだと思うんです」

「じゃあ、今は幸せを感じられているのね。雅子さんはあなたのことは何の縁もない関係だったから、厄介者扱いをしたのでしょうね。
どういう心境の変化があったのか解らないけど、自分を取り戻せたことはいいことよね。旦那さんとの人間関係は仕事や友達なんかとは違って特別な思いも絡むから複雑なの。さっき言った可哀想だと思われて結婚するなんていけないことよ」

「はい、それはもちろん好きになった人と結婚したいです。でも、今は自分のことより兄弟たちの幸せを考えることが優先なんです。それは亡き母の遺言だと言い聞かせているんです」

「私はチャンスがあったら並行して考えればいいと思うわよ。本題に入るけど、隆一郎から何か言われたでしょう?」

「おばさま・・・そのことですが、こうしてお話しすることを隆一郎さんは知っているのでしょうか?」

「もちろん知らないわよ。あなたが話すことを隆一郎には言わないから、安心して」

「私は自分がまだお返事をしてないので、先におばさまにお話しするのがはばかられます」

「いいのよ、同じ女として相談すると思ってくれれば」

その由美子の言葉は夕美の気持ちを動かした。
夕美は隆一郎から交際を告白されていた。それも好きだから付き合って欲しいという軽いものではなく、結婚を前提として考えてほしいと言われたのだ。
自分はまだ高校へ通う身だし、やらなければならないことが残っているのですぐに返事は出来ないと答えていた。しかし、本心は嬉しかった。
作品名:「夕美」 第九話 作家名:てっしゅう