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ダンジョニアン男爵の迷宮競技

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スカイは剣を振りかざした。
 「このレクリエーターに剣などが通用すると思うのかい?ボクに、この姿を取らせるなんて生意気だよ君達。そもそも、このボクの本当の名前を聞いて生きていられる人間なんて居ないのさ。ボクの、この身体は特別製だからね」
「くたばれ!バケモノ!」
スカイはダンジョニアン男爵に切りかかった。
 だが、スカイの剣はダンジョニアン男爵の身体の回りを回る巨大なトランプに弾き返された。
「それにしても君もバカだね。その剣はボクが作ったトラップ・ソードさ。ボクの身体の一部で出来ている、手から離れなくなるのさ。こんな風に」
ダンジョニアン男爵は言った。
 「何!」
 スカイは持っていた剣を見た。剣は石に変わっていた。そしてスカイの腕に巻き付いていた。これでは切ることは出来ない。



その時、スカイの持った剣に炎が集まって
きた。
スカイは後ろを見た。
コロンだ。
正気に戻ったらしいメルプルの母親とマルプルも一緒にいる。
 コロンが杖から炎を集めて送っている。
コロンは杖をグルグルと振り回した。
よし、これは火炎剣の魔術だ。
スカイの持っているダンジョニアンの身体で出来た剣に炎の刀身が出来た。
そしてコロンは杖に寄りかかって、床にへたり込んだ。
 「そこの魔術師。火炎剣の魔術ぐらいで何のつもりだい?ちゃちな魔術だね?君は気に入らないね。ボクのダンジョンゲームで、ボクの美しい殺人トラップ・コンボを何度も潰してきたからね」
ダンジョニアン男爵が言った。
「食らえ!」
 スカイはダンジョニアン男爵に向かって剣を振るった。
スカイの炎の剣がダンジョニアン男爵の前で一瞬消えた。
 「何?」
スカイは慌てた。
「対物理防御の呪文と対魔術防御の呪文を合体させた闇の高等ズル魔術「絶対安全」をボクは使って居るんだよ。お決まりの、お約束攻撃なんかボクには通用しないのさ。今は、どんな攻撃も無効となる無敵の時間なのだよ…何?流れが変わってきている、何が起きた。こんな事は起きるはずはない!何?アンチ・マジック・フィールドとフィジカル・リフレクトが解除されているのか!誰だ!誰がやった!」
スカイの剣の炎が再び上がった。
 「何だよ!使えるのか?食らえダンジョニアン!」
スカイは炎の剣をジャンプして振るった。
炎の剣の炎が青白くなった。スカイは剣を上から下まで真っ直ぐに振り下ろした。
 レクリエーターは真っ二つになった。
 「ギャアアアアアアアアアア!」
 レクリエーターは叫び声と共に倒れた。
「ええい!スカイ・ザ・ワイドハート!
 お前に憑依して身体を奪ってやる!
 いや出来ない!
 何故だ!
 ぎゃあああああああ!」
 そしてレクリエーターは石になった。
 トランプも石に変わり床に落ちた。
 そして二十面体のサイコロと丸い頭が付いた奇怪な分断された石像となった。
そしてコロンが作った炎の刀身は消えて。剣は石になった。
 そしてスカイの手から剣は離れ落ちて転がった。
「ダンジョニアンは倒したぜメルプル。仕事完了だ」
メルプルは倒れていた。
「あ、ありがとうスカイ」
メルプルは、やっとのことで言った。



「よしゴールだ」
 七歳のスカイは言った。
 白い帽子の、つばを持って尖った耳を隠しているメルプルは言った。
 「ありがとうスカイ。わたし、みたいな気持ち悪い子と一緒に迷路ゲームに参加してくれて」
 メルプルは俯きながら言った。
「だから言って居るだろう。お前は,結構可愛いし、気持ち悪くなんかねぇよ。お前を嫌っているヤツ等の方が悪いんだよ」
 スカイは言った。
 そしてスカイはメルプルの帽子を取った。
 「なにするのスカイ。帽子を返して」
メルプルは言った。
 「こんな帽子なんか要らないぜ」
スカイはメルプルの白い帽子を人差し指ででクルクル回しながら言った。
 「でも,帽子が無いと森人の耳が見えちゃうから」
 メルプルは言った。
 「俯いていないで前を見ろよ。世界は地面だけじゃ無いだろ。世界は広いんだぜ」
 スカイは言った。
 ゴールを潜るとスカイ達は、一番の旗の所に連れて行かれた。
 「メルプル、見てみろ、オレ達は一位だぜ」
スカイは言った。
「私が一位なの?嫌われ者の、わたしが一位になったの。一位になって良いの」
メルプルは言った。
 「一位は一位だぜ。お前は一位になったんだよメルプル」
スカイは言った。
 「何にも自信の無い私が、一位になったの」
 メルプルは言った。
 二位になった、ニキビだらけの少年が言った。
 「オマエ等が一番かよ。ウチは家族が多いから、小麦粉百キロは貴重品なんだよ」
 「あげる」
メルプルは言った。
ブルーリーフ男爵が,笑顔で、表彰式に立った。
ブルーリーフ男爵は言った。
 「本日の優勝は、スカイ・ザ・ワイドハートとメルプル・シルフィードです」
 「おめでとう」
 ブルーリーフ男爵は、笑顔を浮かべて、スカイとメルプルの頭に手を置いて軽く叩いた。



 「じゃあなメルプル。親父さんと、お袋さんとマルブルの四人で達者でな。良い領主になれよ」
そう言うとスカイはコロンという姉と共に立ち去っていった。
コロンという魔術師は何故か頭を下げた。
ありがとうスカイ。
 スカイ達が出て行ってから。
 暫くするとルル達がやって来た。
ルル、
 楚宇那、
 ニャコ、
 ウロン、
 サファお姉さん、
 みんな無事だった。
良かった。本当に良かった。
メルプルは涙が流れた、思いっきり泣きたかった。
「メル、無事だったんだね」
 パパが言った。
 「パパ」
 メルプルはパパに抱きついた。
 「メル…大きくなって」
 ママが言った。
 「メルプルお姉ちゃん」
 マルプルが言った。
そして家族四人で抱き合った。
 スカイありがとう……。
 本当に、ありがとう。
 
 

 ムカデの胴体に禿頭のゲジゲジ眉毛の怪物の横には、人の顔が浮かんだ粘液の塊のようなモノが壁に張り付いていた。
 「いやあ、やはり、悪の組織は、派手に潰れるときが一番刺激的だね。でもハイローゲーム様が怒るよ。レクリエーター君が死ぬなんて我々ハイローゲーム学派の百年以上の歴史の中でも珍事だ。新しい学友でも物色するかね?だが我々の貯め込んでいる深遠なる知識を受け継ぐ器となるような学友など、なかなか簡単には見つかるとは思えないけれどね」
ムカデに人の顔の付いた怪物が言った。
 「レクリエーター君は些か、このダンジョンゲームに、のめり込みすぎていたからね、冷笑的なクールさがスラッシャーのキメどころなのに。最後の戦い方は無惨だったよ。スラッシャーは直接戦わないのが嗜みなのに。バカな悪の魔術師の真似なんか、するからこうなるんだよ。実に惨めだったね」
人の顔が浮かんだ粘液の塊が喋った。
ステディ・ベアが粘液の塊を見ていた。