小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

ダンジョニアン男爵の迷宮競技

INDEX|6ページ/69ページ|

次のページ前のページ
 

ロールの沢山付いたピンク色の巻き毛の中年の男が現れた。ピンク色の燕尾服を来ているが、ズボンの替わりに白地にピンク色のハートマーク柄のタイツを履いており、股間には何故か緑色のカエルの顔がアクセサリー?として付いていた。そして踵が十センチぐらいある赤いハイヒールを履いている。そして黄色いレンズに赤いフレームのサングラスを付けていた。
 酷い服だ。
 スカイは思った。
スカイは背後の八つある扉の上にデンと立っている。巨大なテレビを見た。四十メートル四方ぐらいはありそうな巨大なテレビだ。メーカーは、やっぱりというかフラクター選帝国製だ。銀色のエンブレムが輝いて入っている。
「これが、本日のメインの賭博イベント。ダンジョニアン男爵の迷宮競技の出場者達です。全8パーティーの猛者達が参加をしています」
派手な格好をした司会者、ミスター・シキールがステージの上に並んだ八つのパーティーを示しながら言った。
 スタジアムの観客席から口笛やクラッカーの音が鳴り響いた。歓声が上がって、うねりと化していた。
「第1パーティーは、これは三番人気の美少女のみのパーティー「ルルと仲間達」です。一人美少女と呼ぶには年齢が、やや上の方が居ますが。ああっ、そんな目で睨まないでください。むしろ、わたくしめを踏んで縛って蹴って下さい」
 司会者のタイツ男シキールが足を跳ね上げて身をよじりながら言った。
笑いが起きていた。
20代中頃ぐらいの金髪の女が腕を組んだまま、冷たい視線でシキールを見ていた。
第一パーティはスカイと同じぐらいの年代の女ばかりだった。まあ、こんな女ばかりが参加するようなゲームならば魔術師見習いのコロン姉ちゃんには丁度良いだろう。昔と同じような迷路ゲームだ。何か今風にテレビとか、色物の司会者を使うようになっただけだ。
「おい、お前。何で、ダンジョン競技に出るんだよ」
スカイは隣の第8パーティーに居るジーウーを見ながら言った。
「俺の仕事じゃない。俺にとって、これは修行の一環なんだ。他にも理由はあるが、お前の様なバカには言っても判らんから言わん」 ジーウーが、そっぽを向いた。
「テメェの都合なんか知るか。ぜってー負けないからな一位はオレ達だ」
 スカイは言った。
 スカイとマグギャランは有り金全部を自分達の優勝に賭けていた。一位にならねばならなかった。だが、それでも借金を全額返すには足りなかったが。
 マグギャランは何故かコートの襟を立ててスカーフを口に巻いている。テレビカメラが向けられると手を前に出して撮さないでとリアクションをやっていた。
全身を覆う金属製の鎧を着た騎士がマグギャランを見て声を掛けていた。
 「私はスロプ王国の騎士、黒鷹だ。君は何処かで会ったことがないか。どうしても思い出せないんだが。確かに会ったことが在ったはずだ。だが、どうしても思い出せないんだ。君は覚えていないか?私は確かに君を重要な場所で見た覚えは在るんだが。どうしても出て来ない。君は誰だ?」
 フルフェイスの兜を被った騎士が言った。フルフェイスの兜のままではマグギャランの記憶力が良くても判らないだろう。お前が誰だとツッコミを入れたかった。それにしてもマグギャランの存在感とは、その程度のものなのかもしれないとスカイは思った。
 「人違いです」
 マグギャランはスカーフで、くぐもった声を出した。そしてコートの襟を立てて肩を上げて首をすぼめた。マグギャランはカメラに写るのが嫌いなのだ。
「え、あたしですか?ハーベス王国で最年少で騎士試験に受かったルル・ガーテンでぇーす。みんな応援してね!」
青い服を着た少女騎士ルルが元気良くマイクに向かってカメラ目線で顎の下で手を組んで身体を左右に振りながら笑顔を振りまいて話していた。スカイ達出場者の背後に、そびえ立つ四十メートル四方ぐらいありそうな巨大スクリーンにカメラ目線のルルが映っている。とにかく目立つ女だ。オレンジ色の長い髪の毛のせいだけではないとスカイは思った。頭の後ろには馬鹿でかい赤と黄色のリボンが付いている。そしてルルは賭けに集まったスタジアムの観衆に手を振って投げキッスをしている。
ひゅーひゅーと、はやす声がスタジアムから上がり始めた。
 ルルは調子に乗ってジャンプし始め手を振り始めた。
「ルル!ルル!ルル!」
 ルルコールがスタジアムの観客から起こり始めた。
顔を赤くした背後の猫耳人の娘とヤマト人の娘に引っ張られて後ろに連れて行かれてシッペを手首にルルは食らっていた。
 「うおっ痛い」
 ルルは肘まである革の手袋で覆われた手首を押さえて振っていた。
「いやあ、あなたの自己紹介ではないんですよ。でもウケているから司会の権限で許可します。この超デンジェラスな迷宮競技に参加した理由は何ですか」
 司会のシキールが言った。
「メル…」
 ルルの背後からピンク色の髪の毛の猫耳人の娘が飛びかかって、しがみついてルルの口を塞いだ。
 後ろに引っ張って行かれて再びシッペを食らっていた。今度は年長の女も加わっている。そして年長の女の後ろに居た少女も出てきてシッペをした。
 あれ?
 メルプルじゃないか。
 スカイは目を疑った。
そう言えば昨日と同じ服を着ている。
 何で、こんな所にメルプルが居るんだ。
メルプルはブルーリーフ町の町娘だった。
何でコモン共通資格の騎士と一緒に居るんだ。
マグギャランは、どっかの国の騎士団を追い出されたらしいが。メルプルにも何か在ったのだろうか。よく見ると昨日の巻き毛で眼鏡を掛けた娘も偉そうに腕を組んで一緒にいる。
 友達なのだろうか。
 スカイは思った。
「あのう参加理由は何でしょうか」
白と赤の服を着て、腰に赤い鞘の刀を差しているヤマト人の娘に司会のシキールのマイクとカメラが向けられた。
 一瞬、ハッとした顔をしてうつむいた。人差し指の先同士を合わせて動かしていた。
「秘密です」
 ヤマト人の娘は顔を真っ赤にしてボソリと言った。
 「参加理由は秘密だそうです。白けます。引っ張ってくれません。それでは次に行きましょう。一番人気の第二パーティー「モンスターズ・レイジ」です。竜人や亜人類が沢山入っています。これは見ため的には無茶苦茶強そうです」
 司会のシキールが言った。
 「見た目だけではない。我等は最強だ。この間違ったダンジョン競技を終わらせる為にエントリーした」
 白いドラゴンの頭が付いた2メートル八十十センチぐらい在りそうな背丈の鎧を着た大男が腕を組んで言った。巨大な両手持ちの剣を床に突き刺して手を組んでいる。
スカイとジーウーは小突きあっていた。
 「イテェだろバカヤロウ」
 スカイがジーウーの脚を蹴っ飛ばしながら言った。
 「テメェが痛いんだよ」
 ジーウーがスカイを蹴飛ばした。
「ジーウー君知り合いなの?」
 ジーウーのパーティーの女の治療士が言った。赤い毛に黒い瞳で有り体に言って可愛い顔だ。
 「キュピンさん。こんな奴は知り合いでも何でもありません。昨日教育しそこねた町のゴロツキでロクでもないバカ野郎です。バカっていう名前の生き物です」