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ダンジョニアン男爵の迷宮競技

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「少ねぇな。まあ良いか。これで手を打ってやるよ」
 スカイは中身を見てから全部取りだして自分のポケットに入れた。そしてメルプルに空っぽの財布を返した。
「じゃ、マグギャラン、コロン行くぞ。冒険屋の仕事が入ったぞ」
スカイは宝箱を持ち上げて言った。
「カッコ付けすぎだぞスカイ」
マグギャランが金をポケットにしまうスカイの肩を叩いて言った。
 「いいんだよ」
スカイは言った。
 「まあ、アイツ等は俺の仇だ。お前のカッコつけにも、付き合う理由は十分に在るな」
 マグギャランは剣を抜いた。
「だが金の詰まった宝箱を持っているところは全然格好良くないぞスカイ」
 マグギャランは笑いながら言った。
スカイは優勝賞金の金貨が詰まった宝箱を持っていた。
 「うるせぇな。これは、お前のカネでもあるんだよ」
「お前は相変わらずヒーローに、なりきれない奴だ。本当の理由は何だ」
 マグギャランは笑いながら言った。
「わからねぇ。カッコつけたくなったからで良いだろう」
スカイは言った。
 「それはカッコつけすぎだ。理由にはならんな」
 マグギャランが笑いながら言った。
 理由は特にないな。
命張るには理由は無いが。
 まあ、良いか。
これで良いんだろうな。
 ん?
「おい、お前達、城門の前を見ろ!」
 スカイはメルプル達に向かって叫んだ。
トランプ模様のマントを着た兵士達が怪物へと変わっていった。



「どういうことだシー老師」
黒鷹が言った。
 「ダンジョニアン男爵は生きている。お前達が殺したのはニセモノだ」
じいちゃんが言った。
 「何?あれだけの苦労をして、オレ達はニセモノを殺したのか」
 トトンがヒゲを撫でながら言った。
「我が主君の目を覚ますためには、もう一度、ダンジョニアン城に潜入しなければならないな。この任務はスロプ王国の重鎮達連名による血判状を元に行われた計画だ。国庫金を着服してダンジョン競技に注ぎ込んでいるスラーレ王の目を覚まさせるためにダンジョニアン男爵を迷宮競技の表彰式で殺す事が目的だったが失敗してしまった。今度はセカンド・プランとしてダンジョニアン城の中に居るダンジョニアン男爵を殺さなくてはならない。とにかく我々はダンジョン・ゲームを中止に追い込まねばならないのだ」
 黒鷹が言った。
 「だが、どうやって中に入るんだ。城門に鍵が、かかっているはずだ」
トトンが言った。
「奇門遁甲は武覇山流に伝わっています。俺が星深門の軽身功で城壁を昇って城の門を開けて皆を引き入れます」
 ジーウーは言った。
 「ですがジーウー。元気な君と違って。私はキュピンが毒で倒れていた間、一人で魔術を担当した結果、相当な負担を受けていまして魔術は打ち止めなんです。最後のインビジブル・コートで限界を越えました。今すぐ横になって睡眠を取りたい状況です」
 森人の魔術師フラー・ソイラスが言った。銀色の長髪を揺すって頭を押さえていた。
フラーは、もう少し顔が美形で無ければ魔術が色々使えて頼りになる、いい男なのだが。
 ジーウーは思った。
「私に任せて。フラーの穴は私が埋めるわ。毒の影響も無いし医療魔術は任せて」
キュピンさんがガッツポーズで言った。
「それでは、我々も、ダンジョニアン城へ向かうぞ。そして本物のダンジョニアン男爵を殺す」
黒鷹が言った。
 黒鷹のメンバー達は皆頷いた。
そして黒鷹達はダンジョニアン城を目指して駆け始めた。



「さあルールを説明するよ君達。ダンジョニアン城に入れるのは6人までだ。三人は中庭に残らなくてはならない」
 ステディ・ベアは言った。
「おい、お前等は早く先に行けよ、ここは、オレ達が食い止める。獄門惨厳塔に入って扉を閉めろ」
 スカイとマグギャランはトランプのマントを羽織った顔が昆虫や魚に変化して突進してくる怪物達を並んで止めた。スカイは宝箱で、クワガタの頭が付いた怪物の攻撃を受けた。マグギャランは剣でピラニアの顔が付いた怪物の噛みつき攻撃を受けていた。
 コロンは杖の先端に炎の塊を作ってミミズクの頭が付いて空を飛ぶ怪物の空からの攻撃を防いでいた。
横から首が長く伸びる蛇の顔を持った怪物の噛みつき攻撃をスカイは足を右にやって宝箱で受けた。
「スカイ」
 メルプルが青ざめた顔で言った。
 「さあ、先に行け。早く扉を閉めろ!」
 スカイは宝箱を振り回して、ザリガニの頭が付いた怪物のハサミ攻撃を受けながら叫んだ。
「美人の、お姉さん!後でデートをしましょう!」
 マグギャランが、蟻の頭が付いた怪物の噛みつき攻撃と、団子虫の回転攻撃を同時に足と剣で受けながら叫んだ。
「死なないでスカイ!」
 メルプルは叫んだ。
 「俺達は冒険屋だ!そう簡単に、くたばるかよ!マグギャラン!扉を閉めるぞ!」
 スカイとマグギャランはメルプル達が入り口の向こう側に入ったのを見計らって怪物達の攻撃を受け止めていた。扉は、ゆっくりと自動で閉まっていった。



 メルプルの目の前で機械仕掛けの閂が降りた。
「スカイ」
 メルプルは言った。
たった三人で、あんなに沢山の数の怪物達と戦えるはずがなかった。
 「先に進むわよメルプル」
 楚宇那が言った。
「楚宇那の言うとおりよ、メルプル、あなたは先に進まなくては駄目よ」
 サファお姉さんが言った。
「メルプル、頑張ろう。あの人達の犠牲を無駄にしないためにも」
 ルルが言った。
 「止めてルル!まだ、スカイ達は死んだって決まった訳じゃない!」
メルプルは叫んだ。
 「凶陣拷羅五条殺には五つの闘技場が、あるのよ、これから先、私達は、あの人達の様に、覚悟を決めて誰かを犠牲にして一人を残して先に進まなければならない」
楚宇那は言った。
「嫌。みんなの誰かを犠牲にしながら先に進むなんて、嫌」
 メルプルは首を横に振って言った。
「ムニィ。メルプル心配するなムニィ。ニャコは丈夫だから死なないムニィ」
 ニャコが言った。
 「別に、わたしはメルプルの為に凶陣拷羅五条殺に参加する訳じゃないのよ。スカイに良いところを見せたかったから、参加するだけ。だから最初から死ぬ気は無いわ」
 ウロンは腕を組んだまま手を振って言った。
 「メルプル、気にしなくていいよ」
ルルは言った。
「さあ先に進みましょう階段が向こうの方にある」
 楚宇那は言った。



「さあ、どうする、スカイ。怪物達は一体一体は大して強くはない。だが、問題は数だ」
マグギャランは言った。
どうやら兵士達はトランプの枚数分だけ居るようだった。つまり合計で五十三居ると言うことだ。
スカイ達は数の多さで鋼鉄の扉の前まで追いやられた。そして、囲まれて完全に絶体絶命の状況だった。
「…集まって」
 コロンが言った。
 「どうするのだコロン」
 マグギャランは言った。
 「…インビジブル・コートを、かけるから」
 コロンは言った。
「は?何時そんな呪文を覚えたんだよ」
 スカイは言った。
 「スカイ!早く集まれ!」
 マグギャランが言った。