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ダンジョニアン男爵の迷宮競技

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「それは失礼しました。私も自分で言っておいて、何ですが震えているのです。我々ハイローゲーム学派のスラッシャー達はヒマージ王国攻略をギャンブルを通じて行っているのですからね、この学問の在り方が、あの御方の気に、そぐわなければ、我々は全員、粛清されてしまいます。我等の学派の長であるハイローゲーム様が、あの御方の所へレビューしに行かれていますが。どうなる事やら。何をされて帰ってくるか判った物じゃありません。あの御方は何を、しでかすか判らないのです。陽気で残酷なハイローゲーム様も胃薬持参のレビューという哀れな体たらくです」
 ラビリーナは震えていた。
「ポジティブ・シンキングで行こうか、あの御方の事は忘れてしまおう。我々ハイローゲーム学派のハイローゲーム様が他のビューティフル・ライフ学派のビューティフル・ライフやGEDOU学派のデンジャー校長、チャリティー学派のウェルスマン、緋色の蜘蛛の巣学派の鬼面丞達より劣るという事はない。我々はカネを握っている。これは重要な事だよ。カネは重要なんだよ。とても重要だ。我々はダンジョン・ゲームというプロスポーツのカルチャーを作って大金を稼いでいるんだよラビリーナ君。あの御方もカネを一番稼いでいる事は認めてくれるさ」
 ダンジョニアン男爵が強ばった笑いを浮かべて言った。
「ですが幾ら大金を積んでも、あの御方が、たかがカネごときに心を動かすと、お思いですか。ああっ恐ろしい!恐ろしすぎる!あの御方は正真正銘のバケモノですよ!世間で有り体に在るようなカネへの執着など持っている筈が在るわけは在りません!あの御方にとってはカネなど、ちょっと、やる気になれば何時でも根こそぎ奪えるモノでしか在りません!カネは、とてつもなく重要なモノなのに!」
ラビリーナは全身を振るわせて床に、へたり込んだ。
「ラビリーナ君。あの御方の事は忘れて、我々は遊びを続けようじゃないか。ダンジョンゲームのバカなプレイヤー達とカモの客達に我々の恐怖を、ぶつけて笑い飛ばそうではないか。我々はスラッシャーなのだからね」
ダンジョニアン男爵は笑いながら立体ダンジョンマップを見た。
「そうだねレクリエーター君」 
 ラビリーナはニヤっと笑いながら粘っこい声で言った。
 「駄目だよ、じぇりーマン君。今の私はダンジョニアン男爵で君は美人の副官のラビリーナだよ。私はブルーリーフ男爵の身体を乗っ取っているのだからね。ごっこ遊びは、ちゃんと続けないと」
ダンジョニアン男爵は笑いながら言った。
「それにしてもブルーリーフ男爵は駄目な男ですね。彼が行っていたダンジョンゲームがこんなにもカネになるとは気が付かなかったのですから。我々が財政難に喘いでいるブルーリーフ町を蘇らせたのですよ」
 ラビリーナは言った。
「所詮は中堅国家ヒマージ王国の冴えない町と領地を治める男爵だよ。大したことがないのは当然さ。君が寄生している容姿が優れた半分森人の血を引く女に目がくらんで結婚して、ヒマージ王国貴族の女達に総スカンを食らって貴族社会から仲間はずれにされていたバカな男さ。こんなバカな男の人生にも見せ場を用意して居るんだから。我々は慈善家かもしれないね」
「それではチャリティー学派ですよ。いやチャリティー学派は慈善を与える事によって人を堕落させて喜ぶ悪意ある慈善家ですから。我々は、ただの篤志家ですかね。我々はハイローゲーム学派。つまり高いところに在るモノは低くして、低いところに在るモノは高くする事が学問の追究の仕方です。貴族の女達がイジメで増やした賦役と増税による財政難に喘ぐ、ダメ男爵の所領をカジノを中心とする大歓楽街にしてヒマージ王国一の稼ぎ頭に変えて、子供の遊びだったダンジョンゲームを大人の堕落した遊びに変えてしまう。まさにハイロー!ハイローゲーム学派の精神そのものです!それでは今日は、お開きにしますか?」
 「いや、まだ終わらないよ。私は濃厚でディープなドラマを用意しているんだ。これから私は死ぬんだよ。そして娘のメルプル・ダンジョニアンは涙を流すことになる。楽しいメロドラマの開始だよ」
 ダンジョニアン男爵は笑いながら言った。
「それは、また、お楽しみですね。シキール君にも連絡をしなくては」
 ラビリーナは笑いながら言った。
 そしてダイヤモンド携帯を差し出した。
 そしてダンジョニアン男爵はダイヤモンド携帯を掛けた。
「あーシキール君かね、これから楽しい…」



「あ、ゴールが見えた。私達は何位なの?」
 ルルが言った。
「あ、ゴール前にサシシ・ラーキが居る」
メルプルは叫んだ。
 サシシ・ラーキはニコニコ笑って手を振っている。
何であの人が手を振るうの?
 キャラが違うじゃない。
 「ヤッホー!」
ルルが手を振り返していた。
「ルル!」
 楚宇那が走りながらルルの腕を掴んで、つねった。
「痛たたたたたた」
 ルルが暴れた。楚宇那は腕は細いが力は結構強いのだ。
「ムニィ、サファお姉さんをイジメた悪人ムニィ。ニャコが殴ってくるムニィ」
ニャコが駆けていった。
「ニャコ危ないわよ」
 メルプルは言った。
サシシ・ラーキの前でニャコは止まった。
 ニャコはチョップを構えたまま固まった。
サシシ・ラーキはメルプルがハッとするような可愛い笑顔を浮かべている。
 まさか、ニャコまで精神攻撃を食らってしまったの。
 ニャコが帰って来た。
 「ムニィ、何故か殴れないムニィ。こんなの初めてムニィ」
 ニャコは首を傾げていた。
 その時メルプルの髪に何か変な物が、あたった。
 「メルプル、変な物が天井から降ってきているわよ」
 楚宇那が言った。
 メルプルは、自分の髪の毛を触った。何か変なゼリー状の手触りの物が髪に付いていた。
 「何コレ?」
 メルプルは言った。
 「取ってあげる」
 ウロンがメルプルの髪に付いた物体をハンカチで取った。 
「ゼリーの塊?匂いはしないけれど変な物が天井から降ってきたのね」
 ウロンがゼリーの塊の様な物を床に捨てた。
 「手に、べと付かないし、やっぱりゼリーの様な物ね」
 ウロンが言った。
メルプル達はゴールのテープを切った。
 3番のカードを持ったバニーガールがやって来た。
 「おい、そこの猫耳娘」
背の高い怖い顔の、ひげ面の戦士が居た。
ハルバードを持っている。
「そうだ、お前だ」
 背の高いトンガリ頭の少年が怖い顔をしていた。
「何、いきなり話しかけるムニィ。馴れ馴れしいオヤジに小僧ムニィ」
ニャコは顔をしかめて言った。
「サシシ・ラーキさんは、か弱く清楚で清純な乙女だ。モンスター風情の貴様如きがチョップして良い筈は無いだろう」
 ひげ面の戦士が腕を組んで言った。
「トトンさんの言うとおりだ。サシシ・ラーキさんは、いい人だ。猫妖怪め」
トンガリ頭の少年が腕を組んで頷いて言った。
「ふん、エロオヤジにエロガキ、ムニィ。サシシ・ラーキに騙されている痴れ者達ムニィ。あの女が、いかに危険だか判ってない愚か者ムニィ」
ニャコが腕を振って言った。