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ダンジョニアン男爵の迷宮競技

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カダミーが頬を押さえながら言った。
「キィィィィィィ!カダミー!わたしは美の化身なのよ!芸術的に氷の上を舞って敵を殺すスベラバの花!女性美の極致!私こそ、ザ・女よ!」
 マアンが両腕を振って言った。
「ふん、化粧落とした顔は大分違うじゃないか、美の化身が、やれやれだよ」
カダミーが肩を、すくめて言った。
「カダミー!」
マアンがカダミーの顔を張った。
 「二度もオレをぶったね!女の癖に!」
 カダミーが言った。
マアンが無言でローリング・ソバットをカダミーの顔にヒットさせた。カダミーの顔が仰のいた。また鼻血が出ている。
 「三度もぶったね!しかも顔を足蹴にした!バカにするなよマアン!オレだって、やるときはやるさ!」
カダミーが中段回し蹴りをマアンに放った。
マアンは回し蹴りを脇腹に食らった。
そしてカダミーとマアンは無言のまま蹴り合いを始めた。
スカイはコロンを手で呼んだ。コロンは頷いて火の玉で溝を作りながら、その溶けた溝を伝って歩いてきた。スカイ達の近くまで来たが、どうも氷の層は薄いようだ。コロンの火の玉で十分に溶かせるようだった。
「ふむ、隙を見てアイツ等を剣で殺した方が良かったのではないか」
 マグギャランが腕を組んで言った。
「別にいいじゃねぇかよ。通過は出来たんだから」
氷の上では凄まじい蹴り合いが行われていた。
そして蹴り合いからスピンしながらカダミーとマアンは、ぶつかりあっていた。
 このペアは解散だな……スカイは、そう思いながら首を縮めて、こっそりと扉を、くぐった。
ちょっとバツが悪かったかな。



サファお姉さんが赤い扉を開けた。
「あ、あの人らっきょう頭だ」
 ルルが言った。
「しっ!」
 メルプルは慌ててルルの口を背後から塞ぎながら言った。
ただっ広い空間にはソファが一個とサイド・テーブルがあった。
そしてソファには、だらしない格好で片足をソファから垂らして寝転がっているスーツ姿の男が居た。
 剣のような物がソファに立てかけてある。
 目が少し悪いメルプルの視力では、ぼやけて沢山ある剣の数を数えることが出来なかった。メルプルは勉強するときには眼鏡を、かけているのだ。
そして何故か穴の開いた魔法瓶が落ちていた。そして小さい水たまりが出来ていた。
 ゴミの不法投棄だろうか。こんな場所なのに?
この男が第四ゾーン「力と技と知の闘技場」でバトルを行うダンジョン・ストーカーズの一員に違いない。たった一人で居るところが怪しかった。
何か秘密があるに違いない。
 しかし、いきなりルルは挑発するような事を言ったのだ。
 確かに、らっきょう頭だがストレートに言いすぎだと思えた。
きっと自信と自己主張で固めた髪型に違いない、らっきょうと言っては怒り出すかもしれない。
 いや、だが、らっきょう頭はソファの上で横になったまま動こうとしない。
「ルル抜き足差し足で、音を立てずに気付かれずに向こうの扉を目指して行こう」
 メルプルはルルの耳元で言った。
 ルルは判ったのか頷いていた。ルルの頭の後ろに付けているリボンがメルブルの顔に当たった。ルルよりメルプルの方が少し身長が高いのだ。いや、実はサファお姉さんを除いて一番背が高いのがメルプルだった。
ルルは、そのままメルプルに口を押さえられたまま横歩きを始めた。
メルプルはルルに引きずられていった。
 他のメンバーもソロリとソロリと歩いていく。
「あー、女は通って良いよ。俺は雇用時の契約で女は切らなくて良いことになっているんだ」
らっきょう頭の男がソファで寝返りを、うちながら手を振って言った。
「気に入らない。ただのセクハラ男じゃない」
 ウロンが眼鏡を直しながら言った。
「でも、通してくれるなら通して貰った方が楽だよウロンちゃん。バトル・クジの時のように誰かが怪我をするかもしれないし」
 ルルは言った。
「私が負けたことを根に持っているの」
 ウロンがルルに言った。
「え?違うよ」
ルルはビックリして首を振って言った。
「そこの姉さん。あんたは第十四師だろ。俺がガキの頃見たことがある。オヤジが第三師に殺されそうになったとき命を助けてくれた。オヤジは片腕を失うぐらいなら殺されれば良かったと文句言っているが俺は感謝しているよ。ありがとう」
 ラッキョウ男は手を振っていた。
第十四師とは一体何なのだろうか。メルプルは不思議に思った。どうもラッキョウ男はサファお姉さんの過去を知っているらしかった。



ジーウーは黒鷹と共にポイズン・ガンを追っていた。マゼンタ色のドアの向こうには、奇怪なロボットが居た。
「わたしはダンジョンストーカーズ、キリング・ランキング八位の「メマシー博士」だ。魔術都市エターナルから除籍された天才ロボット・マスターの力を見よ」
ジーウーは目の前に現れた三メートル二十五センチ近くある高さのロボットを見た。金属の卵の様な胴体に手足が付いている。だが、卵形の胴体は開いており、中には白衣を着ている髯と眼鏡を掛けた中年の男性が座っていた。
「キュピンさんが死にかかって居るんだ、お前なんか、お呼びじゃない!どけ!」
 ジーウーは叫んだ。当然だった。全身にバカと書いてあるような奴だった。
「それでは、お前達を殺すぞ!最強ロボット、ボトルシェイカー起動!サイキョー!死ね!サイキョー!死ね!サイキョー!死ね!」
 胴体の上の方が閉まった。
 卵形の胴体に鋼鉄の仮面が付いていた。
 右腕の鋼鉄の鉤爪が振り回されて襲ってきた。ジーウー達、黒鷹のメンバーは避けた。
騎士の黒鷹と戦士のトトン・マーレが、前に出て剣とハルバードを振るった。だが、ボトル・シェイカーの装甲に弾き返された。
「効かぬよ!効かぬ!非力よ!非力!これぞ機械の力!フハハハハハハハハ!突進!そこのけ!そこのけ!私が通る!」
 ロボットのボトルシェイカーが部屋の中を走り回った。車輪が踵と足の真ん中に付いていた。 
 黒鷹達のパーティは陣形を崩して突進を避けた。
 「ぬ、そこに横たわっているのは女だな。ボトルシェイカーの真の実力を見せてやる。クローシュート!」
 ボトルシェイカーの右腕の鉤爪が打ち出された。
 キュピンさんが鉤爪に挟まって捕まった。
「ボトルシェイカー巻き上げ機作動!」
 ボトルシェイカーの右腕と鉤爪を繋ぐチェーンが急速に巻き上げられていった。
「フハハハハハハ。戦闘中に寝ているバカをまず最初に始末してやる。ボトルシェイカードリル作動」
 ボトルシェイカーの左の手の平からドリルが出てきた。
 「プチッと刺さって、ドリルでミンチにウィーンとなって吹き飛ぶのだフハハハハハ!これが天才の実力!」
キュピンさんを捕まえたボトルシェイカーは高らかと、くぐもった声で宣言した。
 「攻撃魔術が、あの装甲に簡単に効くとも思えません、切れ味増加の魔術を使いましょうか」
 森人の魔術師フラーが黒鷹に言った。
「そんなモノ使う必要は無いですよ。おれが弱点を見つけました」
 ジーウーは言った。