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ダンジョニアン男爵の迷宮競技

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「これこそがダンジョン・ゲームの真骨頂です。ダンジョンストーカーズ・キリングランキング、5位の邪戦斧隊、4位のラメゲ・ボルコ。2位のムササビ、1位のドーちゃんの4強を投入しての総力戦ですから簡単と言えば簡単に勝負がつきましたね。ただ、精霊使いが三人居たことが、こちらの誤算でしたが。4強の実力の前には些細な齟齬で皆殺しでした」
 「邪戦斧隊は脳の拡張ベイに無線LANカードを差し込んでいるから集団戦では命を捨てていく攻撃と共に抜群の連携を発揮するね。メルール・パレ君は狼男に変身して邪戦斧隊を二人までは倒せたみたいだけど数の暴力の戦斧の雨嵐で殴り殺したからね」
ダンジョニアン男爵はソーダーフロートを飲みながら言った。
「いえいえ。ラメゲ・ボルコの十本剣の腕は冴え渡っていました。「影の獣」と言う聖霊と2メートル在る剛剣を使う竜人ガオーンの首を、両手に持った二刀流で戦って、剣を三本折られましたが、結局、首を刎ねましたからね。精霊は精霊使い以外には見えないのに気配だけで避けてガオーンの首を狙っていったのでしょう見事なモノです」
ラビリーナは言った。
「忍者同士の殺し合いはフラクターの羅刹君よりウチがアルバイトで雇っているムササビ君の方が上回ったようだね。彼の怖いボスに直に出向いて賄賂渡してスカウトしたかいがあったよ。手刀で羅刹君の身体を滅多刺しにして殺したからね。ムササビ君は傷一つ負わない結末だったよ。彼の恐いボスは、かの、タビヲン四剣士の一人だからね」
ダンジョニアン男爵はソーダーフロートのストローの先端を舐めながら言った。
「そしてドーちゃんは居るだけで強かったですね。ドーちゃんには種族的に精霊を使った攻撃は通用しないんですよ。ただ難点は食費に金が掛かることでしょうか。あとはカメラに写せない事ですかね」
ラビリーナは言った。
 「ドーちゃんは人間には、ちょっとばかり怖いからね」
 ダンジョニアン男爵はソーダーをハート型のストローで飲みながら言った。
「イケメンの翼人と森人の二人は手足を邪戦斧隊に、もぎ取らせて青タンを作って鼻血を出させて殺しましたが。やはり、シキール君の趣味が出ていますね。彼の作った邪戦斧隊の行動プログラムではイケメンと美女は必ずナックルパンチで、鼻血と青タンを作っての、なぶり殺しですから」
ラビリーナは笑いながら言った。
 「あー楽しいね。このダンジョンゲームは最高だよ。モンスターのコレクションを揃えて、実際に使って遊べるんだからね。こんな楽しい遊びはないよ」
ダンジョニアン男爵はソーダーフロートのアイスをストローで突き刺して丸ごと口に頬張った。



「よし、二位まで浮上したぞ。現在一位は第5パーティの「悪人同盟」だ。第二パーティ「モンスターレイジ」と第四パーティの「ワイズメン」と第六パーティの「借金隊」は現在全滅した」
 スカイは第三チェックポイントで確認しながら言った。
「第四ゾーンは、どうなるんだ?」
 マグギャランは腕を組んで考えながら言った。
「第四ゾーンは、「力と技と知の闘技場」だと書いていやがる。何を考えて居るんだ」
スカイはルール表を見ていた。
 「また、パーティ同士の戦いが在るのか」
 マグギャランは聞いた。
 「いや、三つの扉を選んで、中のダンジョンストーカーズとの戦いを、くぐり抜ける事がこの第四ゾーンのルールだ。別に倒さなくても部屋を通過さえ、できれば問題は無いらしい」
スカイは扉に書いてあるルール表を見ながら言った。
 「戦闘は一回のみなのか?」
マグギャランは言った。
 「いや、違う。二回扉を選択しなければならないと書いてある」
 スカイは言った。
「第7パーティ「ザ・ワイドハート」は十五分間のインターバル時間を終わりました。第四ゾーンに進んで下さい」
ラッパ型のスピーカーから声が聞こえてきた。
「よし、第四ゾーンに足を踏み入れるぞ。行くぞ、マグギャラン、コロン」
 スカイはマグギャランとコロンに言った。
「まあ、頑張るぞ。頑張らなければ命が無くなるような危険な迷宮競技ではあるのだが」
 マグギャランは首筋を掻きながら言った。
 コロンは頷いていた。
 扉を開けると目の前には十個の分岐路が広がっていた。



「おーっとサシシ・ラーキ選手が、大鎌の一撃で邪戦斧隊のオゴの首を跳ね飛ばしました!クリティカル・ヒットです!」
シキールが「悪人同盟」と邪戦斧隊の戦いを解説していた。
黒髪の絶世の美女と呼べるサシシ・ラーキの動きはシー老師の武術家としての経験から言っても一級の水準だった。舞うように大鎌を振るったのだ。
ああいう、動きは生まれつきの天才のみが可能とする動きだ。
 あの男のように。
 ジーウーには、あの男ほどの才能は無い。それは、あの男にも拳術を手ほどきをしたシー老師が一番判っていた。だが、ジーウーには可能性があった。何処まで伸びるかは、まだ判らなかった。その可能性のみが現在の望みであった。
「ああっと、キキロ・ハーゾー選手は邪戦斧隊ロゴンの八本腕のベアハッグで口から泡を吹いてます。カエルみたいです。はいゲロゲロ」
 シキールが腰を振って股間のカエルの顔から舌を伸ばした。
 観客席から笑いが吹き出た。
スタジアムの大画面テレビには白目を剥いて口から泡を吹いているキキロ・ハーゾーの顔が大写しで映し出された。
「ああっと!ゴフ・ハベ選手は得意のウォリァ殺投術の外股を返されて十本腕で全身をロックした裏投げを邪戦斧隊のドリゴから食らいました。ドリゴ選手はマウントポジションを取って十本腕で。ゴフ・ハベ選手を殴っています」
ゴフ・ハベは腕で顔を塞いでいたが、情け容赦なくドリゴの十本腕が襲いかかってきた。
「ボウヤだから助けて!」
 ゴフ・ハベは顔が変形しながら叫んだ。
 だが叫びながら前歯が吹き飛んで顎の形が変形して顔がボコボコに、へこんでいった。
 観客はどっと笑った。
「さあ、暴走山賊団「闇の腕」のリーダー、バーリー・ゾーダーは金属バットで邪戦斧隊のポゴンと戦っています。だが二メートルもある巨大な金属バットはポゴンの両手に握られた二丁戦斧で切られてドンドンと短くなって居るぞ。どうした?得意の怪物が出てこないじゃないか!そしてポゴンの二丁戦斧の同時攻撃だ。バーリー・ゾーダーは死んだ!
 1!
 2!
 3!
 死んだぁ!」
シキールは腕を振り上げた!
 「死んだぁ!」
 スタジアムで一斉に大声が上がった。
 口笛やホーンが鳴り響いている。
 画面では革の服を着たバーリー・ゾーダーが力任せの一撃で顔を左右から戦斧で挟まれて死亡した。
 呆れた腕力で挟まれた為、薄く平になったバーリー・ゾーダーの顔が大写しで映し出された。
だが、隣の隣の娘達はケラケラと笑って見ていた。
「うおっ!ツバメ凄いッス!ペチャンコッスよ!」
「ぷぷっ、ツバメは、あんな死に方は嫌ですね」
腹を抱えて足をバタバタさせて笑っていた。
 世も末であった。