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てっしゅう
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「夕美」 第七話

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翌朝になって、由美子は隆一郎と夕美にこれからどうするのか話し合おうと考えていた。
夫俊之の収入が良かったのと、銀行員として貯金以外に資産を運用していたので、調べてみないとはっきりとはしないが、おそらくしばらくは何もしないでも食べて行けそうな金額の余裕はありそうに由美子は感じていた。

それとは別に生命保険からの受取金額も高収入に比例していたから、市内に一戸建てが買える程度の保険金は支払われるだろう。
隆一郎や夕美の学費の事も当面は不安が無い。

遺産相続の件で揉め事にならないように弁護士に相談すべきだとお悔みに尋ねてきてくれた勤務先だった銀行の重役は由美子に言った。
すべての金銭的な処理と不動産の相続をどうするか話し合って、49日法要を迎えて一応の落ち着きを大森家は見せるようになっていた。

雅子の最近元気がなく過ごしている様子を夫の誠一郎は感づいていた。
それは俊之の死とは結び付けて思わなかったが、気になるので聞いてみようと言葉をかけた。

「雅子、最近様子がおかしいぞ。体調でも悪いのか?医者に診てもらったらどうだ?」

「そんなことないわ。更年期に成ったのかも知れないから・・・気にしないで」

「まだ、早いだろう?とにかく病院へ行った方がいいよ」

「いいのよ。それよりあなたの仕事はどうなの?最近帰りが遅いから忙しいのじゃないかって思ってるけど」

「ああ、長引く円高に対抗するために、輸出から輸入に販路を見出そうと社長が思い始めていろいろ調べているんだよ。
この秋に行われるアメリカでの見本市にも出かける予定になっている」

「えっ?あなたが選ばれてゆくの?」

「そうらしい。なんだか責任感じるよ。うまく話せるかどうかも不安だし」

「へえ~じゃあ景気が回復しそうな動きがあるってわけね?」

「そんなに簡単じゃないと思うけど、アメリカや海外からは円高を受けて激しい売り込みがあると聞くよ。
騙されないように選ばないといけないから、勉強してるんだよ」

誠一郎は勤務先の会社が起死回生の博打を打って出ようとしていることを知らされていた。
自分が任されていることの責任を何としても全うしないといけないと、連日残業をして調べ物をしていたのだ。
作品名:「夕美」 第七話 作家名:てっしゅう