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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夕美」 第五話

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少し気になっていた夕美は、家に帰ると隆一郎に尋ねた。

「ただ今戻りました」

「お帰り!早かったね。今母さんといつ帰ってくるんだろうって話していたところだったんだよ」

「そうですか、よかったです今日帰ってきて。これあとで食べてください。すぐにご飯の支度しますから」

「そんな気を遣わなくていいのに。ありがとう。夕飯はいいよ。おせち作ってあるだろう?残り物でいいから、親父も帰ってこないし・・・」

「はい、ありがとうございます。あのう、隆一郎さまお聞きしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」

「ああ、もちろんだよ。なんだい?」

「お父様はどんな車に乗っておられるんでしょうか?」

「自家用車かい?きっと会社持ちの黒いクラウンだよ。タクシーで使っているのと同じ車種の。解るかい?」

「黒いクラウン・・・タクシーと同じ形・・・そうですか、ありがとうございます」

「それがどうしたの?気になるのかい?」

「いいえ、そうではありませんが・・・」

夕美はとてつもない嫌な予感に襲われていた。もしあのすれ違った車が俊之のもので、助手席に座っていたのが雅子だったとしたら・・・
それは天地をひっくり返すような真実だと怖くなっていたのだ。
作品名:「夕美」 第五話 作家名:てっしゅう