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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夕美」 第五話

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夕美は晴樹を伴って、誠一郎の運転する車で弟や妹たちをそれぞれに家に迎えに行った。
先方ではむしろ連れて帰ることを歓迎された。明日戻しに来ると言うと、もっとゆっくりで構わないと必ず言われた。

狭い室内で久しぶりに顔を合わせた兄弟たちは話が尽きなかった。
夕美は誠一郎の計らいでその足で初詣も済ませた。俊之からの正月手当をはたいて神社の近くにあった食べ物屋でみんなで昼ご飯を食べ、甘いものも食べた。
勘定になって誠一郎は自分が払うと夕美の手を制したが、自分が払いたいと強く申し出てレジで誠一郎の分まで払った。
弟たちを乗せてもらったお礼だと夕美は誠一郎からのお金を受け取らなかった。

その日は夜遅くまで兄弟で語り合い、翌日に再び誠一郎に頼んでそれぞれの家に送ってもらった。
夕方になって泊まってゆこうかと迷ったが、遅い時間になっても大森家に帰ろうと晴樹と誠一郎に別れを告げて駅に向かった。
正月でもあるので隆一郎へお土産と考えて、地下鉄の降り口をいつもとは反対方向に出て、ドーナッツの店に歩いていた。

前から来た黒い乗用車がわき道を入ろうとして右折してきたので、その場に立ち止って通り過ぎるのを待っていた。
何気に見たその車の助手席には雅子に似た女性が座っていた。まがった方向の向こうには夕美が見てはいけなかった建物が暗くなった八事山の陰に怪しい明りを灯していた。
そこはラブホテルと呼ばれる場所だったのだ。
作品名:「夕美」 第五話 作家名:てっしゅう