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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夕美」 第三話

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一番遠い親戚に預けられていた妹の真実(まみ)にこれからの季節に使って欲しいマフラーを手渡すと、抱きついてお姉ちゃんと喜んでくれた。
相手先の親に遠慮もあって、少しの時間だけ話して再会を約束して別れた。
次は次男の浩二に以前欲しがっていたサッカーボールを、そして長男の俊一には安物だけど腕時計を奮発して来年から高校生に上がる祝いを兼ねて手渡した。

最後に今の実家と呼べる大沢家に帰り、晴樹にお菓子の入った長靴をあげた。来年から小学校に行く晴樹は驚くほどしっかりとした態度で泣き出すことも無く夕美にありがとう、とお礼を言った。

「晴樹、偉いわね。お姉ちゃん見直した。また来るからお義父さんとお義母さんのいう事聞いて勉強に励むのよ」

「うん、お姉ちゃん。また来てね」

「ええ、もちろんよ。励ましに来るからそれまで元気でね。風邪引かない様に・・・」

しっかりしている晴樹とは逆にもう夕美は涙目になっていた。こんな小さな子がきっと自分に気を使ってくれているのだろうと思えるからだ。
しばらくして義母の雅子がどこからか帰ってきて、夕美を見つけるなり、

「どうしたの!勝手に家出して来たんじゃないでしょうね?」

そう恐い顔で怒鳴りつけた。

「お義母さま、おじ様に実家へ帰っても良いと言われて来ました。ご安心下さい」

「それならいいけど。父親からはあなたが良くしてくれていると報告聞いているから安心してるけど、たとえ実家へ帰っても
良いと言われても、遠慮するのが気遣いっていうもんだよ。覚えておきなさいね。大人の社会とはそういう気遣いで成り立っているんだからね」

「はい、心得ました。では今日はこれで帰ります。お義父様にも宜しくお伝え下さい」
作品名:「夕美」 第三話 作家名:てっしゅう