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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夕美」 第三話

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由美子が手配したのだろう。タクシーが停まって玄関の呼び鈴が鳴らされた。

「夕美、出かけてくるから、お願いね」

「はい、解かりました。お戻りは何時ごろでしょう?」

「解からないわ。零時を過ぎたら、戸締りして寝て頂戴。解かった?」

それ以上は何も聞くなという雰囲気に感じられたので夕美はただ頭を下げた。
その日は隆一郎を始め由美子も俊之も自宅に帰ってくることは無かった。
たった一人で夜を過ごす不安に駆られながら、なにがあったのだろうと夕美は考えていた。
あんなに母親思いの隆一郎が暴力をふるって逮捕されることってどういう事なんだろうかとどう考えても納得が行かない思いに眠れない時間が過ぎていった。

翌日朝早くに三人は帰ってきた。
俊之は戻るなり夕美に一万円を手渡すと、今日は夕方まで実家に帰っていいからとぶっきらぼうに話した。
言われるままに、支度をして出掛けた後に、玄関は施錠され中の様子は窺い知れなくなっていた。
クリスマスも近いこともあって、渡された一万円で弟と妹たちにプレゼントを買って、地下鉄に乗ると心は早く会いたいとの思いであふれ出していた。
作品名:「夕美」 第三話 作家名:てっしゅう