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天国からの脱出

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さあ実行だ!



屋根裏へ入るのに疲れを感じることが減っている気がする。少しは身体が絞れてきたのかもしれない。入ってからの作業も松明状のものに火を点けて持っているだけだから楽だ。最後に見つけたマッチとロウソクはとても役に立つものだった。ロウソクは明かりにもなるし、松明状のもの火を点けやすい。

天井を燃やすという行為は、どこか罪悪感のようなものを感じていた。それがあるので、窮屈な姿勢でも集中力を保って作業出来たのかもしれない。

うっかりした火の始末であっという間に家が燃えてしまうということがあるようだが、部分的に焼いて穴を空けるということは簡単にはいかなかった。というかじっと同じ姿勢でいると、時間の経つのが遅く感じるためだろう。

それでも外の丸太よりは燃えやすい木なののだろう。匂いと煙がいやなことだったが、やっと屋根下部の板に燃え移ってきたので、疲れた手を下ろす。ほぼ燃え切った段ボールをバケツに放り込んだ。

いやな匂いがし始めた。屋根そのものか、その間にビニールのようなものがあるのかもしれない。有毒なガスは出ないのだろうか。少し逃げ腰になった時、警告ブザーのような音が聞こえた。

火災報知器だろうか。でも、音は離れた所から聞こえてくる。さらに、外から物音が聞こえてきた。何だ! どうしたんだ?

様子を伺っていると、明菜の悲鳴のような声が聞こえた。オレは下に降りるために身体の向きを変えた。その間にも人の走るような音と、誰かが何か言っている声が聞こえる。どうしたもんかと少し迷ったが、火のついている屋根の板をすりこぎ棒でそぎ落として火を消した。

おそるおそる押し入れの2段目に降りた時、まぶしい照明が当たっているのに気付いた。


作品名:天国からの脱出 作家名:伊達梁川