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天国からの脱出

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頭を使うということ



オレはメモを見ながら考えている。
1.天井の固い板を炎でもろくする。
2.アイスピックと金槌で穴を空ける。
3.すりこぎを梃子の応用に使って板を割るか折る
  (すりこぎの先端を平べったく加工=果物ナイフ)
4.屋根の材質がわからないので、さらに炎を使うかもしれない

想像だけだと上手く行く筈だ。しかし、頭だけでは進展しない。体力が重要だ。体力、筋力があれば、こうやって考えている間にはもう小さな穴くらい空いているだろう。

筋力はすぐには手に入らない。これが屋根ではなく床なら体重を利用することも考えられたのに、明菜と二人で体重をかければ相当な力量になる筈だ。うーん何か方法があったはずだな。滑車か、滑車とロープで上向きの力量が得られる。でも無い。

オレはこの状態が楽しいと感じていた。ゲームを止めることによって、想像したり推理する楽しみを得た。あとは身体を使って心地よいと感じることのできる体力だなと思った。ここに食糧が配達された時に動いた時はそれを感じていた筈だ。おそらく物か゛手に入った嬉しさで疲れを感じるのが薄れていたのだろう。

スポーツがいい例である。腹筋運動をやるよりテニスやゴルフなどをやる方が楽しい。楽しく脱走、それがテーマだなと思う。まず天井裏へのルートを固定しようと思った。まず、缶詰の入った段ボールを押し入れの前に階段状に置く。押し入れの2段目に運び込んだ椅子を動かないように固定した。

すりこぎ棒を地道に果物ナイフで削った。これでどこかに隙間が出できた時にこじ入れて使える。

段ボールを筒状にして、豊富にあるタオルで包み、食糧の段ボールの梱包を解いた時の紐で結わえた。サラダ油を染みこませて出来上がり。これを何本も作る。

出来上がったものを天井裏に運び込む。数度往復をすると息切れがしたが、休みながら運び終えた。念のためにバケツに水をいれたものも運び込んだ。

これで準備は出来たかな? 少し高揚感を感じながら、あとすることは無いかに考えを巡らせる。ふと目をやった窓の外は暗くなり始めている。秋なんだなあと思った。


作品名:天国からの脱出 作家名:伊達梁川