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天国からの脱出

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まだまだ甘いけれど進展か



あったではないか。丸太の表面を焼いた時に突き刺してみたアイスピックが。柄の端は鉄で覆われている。これを金槌で叩けば穴があく。それをずらしていって大きな穴にする。うわあ、大変な労力だ。自分で考えついてこれだっと思いついた先からくじけそうになっている。まだまだ甘い。

「何ぶつぶつ言ってんの。出来たわよ。一緒に食べる?」
明菜の声を聞いて、空腹だったことに気付いた。
「さあ、万能スープだから何にでも出来るよ」
「うーん何にしようかな、ご飯を入れてチーズを乗せようかな」
「あ、いいかも。わたしもそうしよう」

リゾットといえるようなものが出来てきた。チーズの匂いをかいだらワインを飲みたくなった。少しだけ飲もうと思ったが、結局二人で1本飲んでしまった。
「ふーっ 美味しかった」
「やっぱり天国だよー」
「天国ばんざーい」
なんとしまりのない二人になってしまったもんだと思いながら、よたよたとソファーに横になり昼寝の時間となってしまった。

       *          *

誰かが話している声を夢の中か現実か分からない状態で聞いていた。次第に覚醒していく頭でテレビの音声だと知った。ああソファで寝たのだったと思い出す。

「あなたね、体力無いんだからせめて頭を使いなさいよ」
「こうかな?」
「バケツに頭突っ込んでどうしようっていうの」
「頭を使えっていうから」

テレビでは漫才をやっていた。
(そうだよな、オレも頭つかわないと)
のろのろと起き上がり、テレビ台の下にある扉に気付いた。開けてみるとロウソクとマッチが見つかった。このシーンは記憶がある。オレはすぐに思い出せた。ロールプレイングゲームなどで、役に立つアイテムが見つかるシーンだ。
(ロウソクとマッチを見つけた)というメッセージが頭に浮かんだ。

台所でも何か使えるものはないか探し始めた。
(そのまま使うのではなく、加工して使うこと)
そんな風に思いながら点検をする。サラダ油とオリーブオイルに目がいった。
(段ボールを丸めて布でしばり油を染みこませる)
松明というか屋根の一部分部分を焼くのに使えるかもしれない。フライ返しは華奢だから使えない。フライパンは金槌で先の方を叩いて平らにすれば・・・・雪かきぐらいしか出来ないかなあ。果物ナイフとすりこぎも使えるかもしれない。
それらを紙にメモして自分の部屋に戻った。

作品名:天国からの脱出 作家名:伊達梁川