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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夕美」 第一話

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年が明けて中学を卒業すると夕美は仕事をしながら夜間の高校に通う事になった。学校の時間だけ晴樹を雅子に預けて面倒を見てもらう代わりに
稼いだ給料から5万円を食事代と家賃として払う約束をした。手取り10万を切る位だったから手元には4万円少々しか残らなかった。
郵便局に積立貯金を毎月1万円ずつして残りは弟たちへの服や文具代に当てることにした。

義理の父誠一郎は雅子にお金を取らないように話したが、きつい一言で払いのけられてしまった。

「あなたの稼ぎで賄ってくれるの?」

誠一郎は悔し紛れに、

「節約すればやってゆけるじゃないか。この子達が大きくなるまでお前も我慢しろよ」

「あなたが我慢出来るのは血がつながっているからよ。私には関係ないわ。イヤなら晴樹を連れて出て行けばいいじゃない!
住まわせてもらえるだけでいいって夕美は言ったのよ。聞いていたでしょう?」

「冷たい奴だなあ・・・お前は」

「人の半分しか稼げないくせに、そんなことがよく言えますね。私は自分の子供たちには貧しい思いをさせたくないの。
勉強をさせてあなたみたいにならないようにいい大学に行かせないといけないのよ。そんなことも解らないの、父親のくせに・・・」
作品名:「夕美」 第一話 作家名:てっしゅう