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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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とうめいの季節 3

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08.パネェひと


京都、須丸邸にて。他愛もない話で、伊吹は紫暮(しぐれ)と盛り上がっていた。祇園祭が終わって、本格的な夏がもうすぐやってくる。

「おや伊吹くん、シャツのボタンがとれかけているよ」
「あれっ、本当だ」

紫暮(しぐれ)に指摘され袖口を見ると、シャツのボタンがブラブラしている。

「あちゃー、気づかなかったや」

このままもみっともないので、ボタンを千切ってポケットに入れた。

「そうだ紫暮さん、こーゆうときって、決まって瑞がね・・・」

ボタンがとれたり、衣服がほつれたりすると。
「貸してみろ、直してやるから。え?針と糸?いつも持ってるけど?」

「って」
「オカンみたいだな」
「でしょ?他にもね・・・」

風邪をひくと。
「ほら、おかゆ食え。胃に優しいものじゃないとな」

伊吹の保育園入園前には。
「ズック袋と着替え袋は縫っといた。布?町の手芸屋さんで買ってきたぞ。クマタンの」

バレンタイン前日には。
「学校の友だちにお世話になってンだろ?あとサッカーの先生やら女子への友チョコも忘れるな。ほら、ガトーショコラにしといたから」

運動会の昼休み。
「お重箱弁当だ。一段目は伊吹の好きなおいなりさんを詰めといたからな。いっぱい食えよ」

学校のPTAバザーにて。
「クッキーと、あとパッチワークで座布団カバーなどを作っておいた。くるみボタンでヘアゴムなんかも作ったぞ。女児をお持ちの保護者からリクエストがあったンでな」

瑞のオカン・レジェンドは、枚挙に暇がない。

「瑞の女子力はんぱねえ!ガトーショコラ?ひぃぃ」

紫暮が腹を抱えて大笑いしている。このひとはクールに見えるのだが笑い上戸だ。たまにおかしなツボに入って笑い転げるのだが、とくに瑞のネタではそれが顕著である。ガトーショコラがお気にめしたらしく、連呼している。

「ぱねえんですよ。うちの姉ちゃんも少し見習うといいんだけど」

伊吹の姉の小夏(こなつ)は男気溢れる女子高生だ。長身のきれいな姉なのだが、家事全般に向かない。大雑把な性格なのだ。

「得意料理はカップラーメンですからね・・・」
「もはや料理ですらないんだが・・・」

神末一族、家族が結構濃いのであった。




作品名:とうめいの季節 3 作家名:ひなた眞白